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ランディ・パウシュ 卒業生への言葉

ランディ・パウシュ(Randolph Frederick Pausch)

癌の末期で行った「最後の授業」で知られる、カーネギーメロン大学終身教授のランディ・パウシュが卒業生へ向けて行ったスピーチ。



今日ここにいる事を嬉しく思います。まあ、どこだって嬉しいことに変わりはないのだけれど。
コーン学長に、卒業生たちを胸いっぱいにしてくれと言われましたが、皆さんの拍手で、私の方が胸いっぱいです。

ここは素晴らしい場所です。私は今まで様々な立場からそれを見てきました。
あるときは入学し損ねた生徒として。その後で招ばれ、こう言われました「よろしい、入学を許可しよう」と。そして、それから数年後には教える側として迎えられ、誰もが望むようなチャンスを与えられました。即ち、”夢中になって何かに打ち込む”チャンスです。

この大学が、他に例を見ないくらい素晴らしいところは、誰もそういう人の邪魔をしないことです。これは素晴らしい事です。学びの場を人が愛する。それも最高のレベルで。私はこの場所を愛して止みません。コーン学長をはじめ、皆さんが見せてくれた”優しさ”に心から感謝しています。

去年の8月、私は、おそらく余命3~6ヶ月だろうと告げられました。あれから9ヶ月が経ちます。もう腕立て伏せはしませんが…まぁこの後で少しバスケをしようと思っています。あるとき、余命の話を聞いた人が私にこう言いました。

「へえ、じゃあ本当に死神をやっつけたわけだ」

それに対し、私の口をついて出てきた言葉はこうでした。

「長く生きることが死神に勝つ事じゃない、人生を充実させる事、フルに生きる事で決まるんだ」

死は誰の人生にも必ず訪れます。大切なのは、生まれてから死ぬまでに、どう生きるかなのです。死神が来てからでは、いつか”するつもり”でいた事を、全部やり遂げるには遅いのだから。だからこそ、人生を充分に生きる為に私から皆さんにできるアドバイスがあります。まず第一に、これは私の大好きな決まり文句ですが…

「死に際に後悔するのは自分のした事ではなく、自分がしなかった事である」

という事。言っておきますが私はバカな事をたくさんしました。でもそんな事はまったく気になりません。数々の過ち、愚かな事、恥ずかしかった事も、どうでもいい。大切なのは、振り返って考えた時、こう言える事。

「まぁ、面白そうなチャンスにはほとんど挑戦したかな」

これは大きな慰めです。これにもう1つ付け加えるとすれば、この祝辞にいれるつもりはなかったのですが、私がふさわしいと思う言葉、それは「情熱」です。
夢中になれる”何か”を見つけなければいけない。もう見つけた人も多いでしょうし、これから見つかる人も多いでしょう。30代や40代になるまで見つからない人も多いかもしれません。でも決して見つけるのをあきらめてはいけません。

いいですか?あきらめた瞬間、あとは”死神を待つだけ”になってしまう。夢中になれる事を見つけ、それに打ち込むこと。私が人生で学んだ事があるとすれば、そのような”情熱”はモノの中にはないという事です。情熱はお金の中にもありません。モノやお金を持てば持つほど、それが基準になり、そして必ずもっとたくさん持っている人が現れます。だからこそ、内側から情熱が沸き上がる様な事を見つけるべきです。

尊敬や栄誉を得るのは勿論良いことですが、仲間うちで心から敬意を持ってもらえる程度で充分ではありませんか。そして自分が尊敬する人から認められることも、すごく栄誉な事だと思います。夢中になれる事を見つける、これは私の経験から言えることですが、それが仕事でも、公の場の何かであっても、その情熱は人々の心に残るものです。皆さんの周りの人たち一人ひとりの心の中にも。もし、自分自身がこの世を去る時が来ても、彼らは皆さんと、皆さん自身の情熱を思い出すことでしょう。周りからの尊敬、情熱、そして真実の愛を勝ち取ってください。

以前にも話しましたが、私は結婚を39歳まで待ちました。自分よりも、その人の幸福の方が大切に思えるような相手を見つけるのに、それだけの時間がかかりました。私は心から願います。皆さんにもそんな情熱が、そしてそんな愛が見つかるようにと。ありがとう。(終)


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