My Library Home

半沢直樹

2013年 Wikipediaより
『半沢直樹』(はんざわなおき)は、池井戸潤による企業エンターテインメント小説「半沢直樹シリーズ」をテレビドラマ化した作品である。2013年7月7日よりTBS「日曜劇場」枠で放送。主演は堺雅人。



本作は、銀行内部での不正を扱ったフィクション作品であり、一般的には視聴率を取りにくい「経済ドラマ」というジャンルである。銀行という男の世界を舞台にしており、わかりやすく視聴率を取れるキャラクターもおらず、女性の登場人物も少ない上に、特に目立った恋愛シーンもなく、主題歌や挿入歌といったテーマソングもない…という「ないない尽くし」の作品であり、従来のドラマ常識から逆行するものであった。

しかし、豪華な俳優陣による骨太の演技、分かりやすいヒーロー役と敵役、チャンバラ活劇を思わせるアクションシーン、リアルかつ漫画的な脚本・演出を心がけた結果、2013年第三クールのドラマで最も大きな反響を得るに至った。

制作サイドの放映開始前の予想として、12?13%から徐々に視聴率を上げて、最終回で20%、平均15%くらいを想定していた。しかし、初回19.4%から視聴率を上げて第5回までで29%の視聴率になるなど、視聴者から大きな支持を得るに至り、監督・プロデューサーを含め、ここまでの人気を得られるとは考えていなかったと言う。


第一部

「やられたら、やり返す。倍返しだ!」

半沢直樹は、「上を目指す」と公言する有能な銀行マン。半沢がバンカーとして頭取を目指すことには、ある理由があった。かつて両親の経営する工場が傾き、産業中央銀行が融資を引き揚げた後、父親が自殺したのだ。

半沢が入社した産業中央銀行は、2002年に東京第一銀行と合併し東京中央銀行となり、世界第三位のメガバンクとなる。しかし上層部では、旧産業中央派と旧東京第一派での醜い派閥争いが繰り広げられていた。

ある日、半沢が融資課課長として勤める大阪西支店で、今まで取引のなかった「西大阪スチール」への融資話が支店長・浅野より持ち上がる。半沢は十分な審査をしようとするが時間を与えられず、浅野の鶴の一声で「無担保で5億の融資」が決まる。しかしその後、優良企業と思われていた西大阪スチールは粉飾決算が発覚し倒産、社長の東田は雲隠れし、5億円の回収が困難な事態に陥る。

同期入社で東京本部勤務の渡真利から、支店長が上層部に根回しを行い、半沢に全ての責任を負わせることで、事態を収拾しようと画策していることを知らされる。1週間後の聞き取り調査までに、雲隠れした社長を見つけないと、半沢は地方に島流しにされてしまう。

そんな中、国税局の黒崎による支店査察に疑問を覚えた半沢は、コピー機に仕掛けたハードディスクの保持データから、国税局も脱税で西大阪スチールを調べていることを知り、まだ回収できる「隠し資産」があると確信する。さらに元経理課長から裏帳簿を入手し、社長の居所を突き止めるが、愛人の未樹に不意打ちを受けて取り逃がしてしまう。

そして、東京本部での聞き取り調査の日、支店長の息のかかった人事部次長らに責任を追及される半沢は、葛藤の末に浅野支店長との徹底抗戦することを決断し、啖呵を切って言い放つ。

「私は必ず、5億を回収する!」


第二部

「私は鬼にでも、悪魔にでもなる!」

西大阪スチールの案件での活躍により、半沢直樹が東京本社の営業第二部次長に栄転になり、1年が経過しようとしていた。半沢は営業第二部のエースとして、数十人の部下達を現場で取り仕切り、自ら最前線で活躍していた。

ある日、200億円の融資をした伊勢島ホテルが、120億円の運用損失を出したことが判明し、西大阪スチールの回収実績から半沢がその担当になる。東京中央銀行に金融庁監査を二週間後に控え、200億円を回収できなければ、1000億円以上という莫大な引当金を保証金として収める必要がある。それにより、株価暴落を招いて経営悪化すれば、その責任をとって頭取・中野渡は退任することになり、常務・大和田がトップに立つ可能性が出てくる。

しかし、200億円を回収すると伊勢島ホテルは経営破綻することが予想されるため、取締役会にて200億円の回収は諦め、伊勢島ホテルの経営再建をすることで、金融庁検査を乗り切る決断をする。運用損失を出した伊勢島ホテルの女性専務・羽根夏子は、なぜか東京中央銀行へ非協力的であり、不正を告発した経理課長の戸越を解雇し、社長をも追放してトップの座を奪おうと暗躍していた。その社長・湯浅は半沢に面会し、先代社長のようなワンマン経営を廃して、経営改善と戸越の復職を約束する。

そんな中、戸越の東京中央銀行へのリークを揉み消したのが、京橋支店支店長・貝瀬であることが判明する。京橋支店の歴代の支店長には、大和田常務とその側近・岸川といった旧産業中央派が歴任している。不正の疑いの濃い大和田に対して、半沢はバンカーの誇りを持って言い放つ。

「私は担当として、どんな事をしてでも伊勢島ホテルを守ります!」


用語

倍返し
半沢直樹の決め台詞。正確には、「やられたらやり返す。倍返しだ!」[19]。上司の支店長・浅野には「10倍返しだ!」を宣言している。
バンカー
綴りはBanker。銀行経営者、または銀行員を指す言葉で、単なる事務職でなく専門職の意味合いが強い。劇中では「銀行員」の意味で呼ばれている。
出向 (しゅっこう)
東京中央銀行から関連企業への派遣のことだが、事実上の追放を意味する。劇中では、行員が自らの不手際などの責任をとる形で「出向」させられるが、第一部での半沢や第二部での時枝のように人事上の策略として行われる場合もある。因みに第一部のは浅野が企んだものだが失敗に終わり、逆に浅野が出向させられた。
稟議 (りんぎ)
元来の意味は、上司に審議してもらうために案件を提案すること。または、提案を発議する(案件を審議する会議の開催を働きかける)こと。ここでは、融資をする際に、融資先の財務状況などから融資の判断をする、銀行内での会議の意味で使われている。責任問題になるため、稟議にかける前の段階では、バンカーは融資先に対して「融資できます」などの返答・約束は、基本的に一切出来ない決まりとなっている。
裁量臨店 (さいりょうりんてん)
支店による融資の与信判断が正しく行われているか調査する事を目的とした、本部が執り行う銀行内部の監査のこと。「臨店」と略して呼ぶ場合もある。劇中では浅野と小木曽が半沢を失脚させるために融資先のヒアリング調査書などを事前に抜取るなど不正を行うも、事態の異変に気付いた半沢らの反撃で失敗し、逆に小木曽が失脚する羽目になった。
金融庁検査 (きんゆうちょうけんさ)
銀行による融資が適正に行われているかを判断するための行政検査。劇中、伊勢島ホテルに対する東京中央銀行の融資と、その後の経営悪化を受け、この検査が行なわれている。
引当金 (ひきあてきん)
金融庁検査の結果、銀行の融資に問題があると判断された場合に、銀行に課される保証金。銀行はそのリスクと予想される損害に応じて、金融庁に引当金を納めなければならない。劇中では1000億円以上の引当金が課されることが予想されるとされ、会計上の利益が大きく目減りすることになるため、株価の大幅下落に繋がる。それにより、銀行の経営基盤に大きな悪影響が出ることが予想され、最悪の場合には破綻する恐れすらある。
与信判断 (よしんはんだん)
相手先の財務状況などに基づき、融資の可否を判断すること。期限などの条件や、上限枠の設定なども含む。また、直接お金を貸す融資だけでなく、先日付の売買や売掛金回収など、債務者の信用リスクを負う行為全てにかかる判断も行う。
疎開資料 (そかいしりょう)
クレジットファイルという各取引先ごとに融資の経緯を記録した資料集の中でも特に外には漏らせない資料であり、同時にこれが無くては不祥事等が起きた際の経緯がわからなくなる重要書類のこと。
劇中、伊勢島ホテルの120億円の損失を東京中央銀行京橋店融資課に内部告発した際の報告書が、大和田の指令によりもみ消され「疎開資料」扱いとなった。
東京本部第二営業部
東京中央銀行本店にある部署の中でもトップクラスのバンカーだけが入れると言う、東京中央銀行のエリート集団。第一部の最後で、半沢が浅野を刑事告発しないことを条件に、次長待遇での異動を叶えた。「本店営業第二部」とも呼ばれる。


原作との相違点

・来生卓治、半沢美千子は『オレたちバブル入行組』、大和田暁、中野渡謙、黒崎駿一は『オレたち花のバブル組』のみで登場するキャラクターであるが、ドラマでは『入行組』が原作の第一部、『バブル組』が原作の第二部、両方に登場している。

・妻である花と直樹の接し方が大きく異なり、花は原作では悪妻として描かれているが、ドラマでは直樹の良き理解者であり、明るい性格となっている。

・原作では直樹には弟・和樹がいるが、ドラマでは登場しない。

・原作では直樹の父・慎之助、母・美千子の名前は不詳。また、銀行に融資を打ち切られて、慎之助が首吊り自殺を図るという設定もドラマオリジナルであり、原作では、直樹が銀行に内定した段階で慎之助は健在である。

・半沢や近藤が剣道を嗜んでいる設定がドラマにて追加されている。半沢が剣術を披露する立ち回りはすべてドラマオリジナルである。

・行員の妻の集まりである奥様会はドラマオリジナルである。

・原作では半沢の同期である苅田などが登場しないなど、同期のエピソードがカットされている。

・直樹の父・慎之助の工場の融資を打ち切った担当の銀行員が大和田に変更される。原作では木村という浅野とつながりがあった業務統括部所属の部長代理でドラマ未登場。

・竹下が自殺を図ったり、板橋が資料を強奪しようとするエピソードはドラマオリジナル。

・小木曽の不正行為を暴く下りでは、ドラマでは半沢の部下である中西の自発的な行動や渡真利の機転が強く影響しているが、原作においては半沢が資料抜き取りの現場を事務員に見張らせるなど終始半沢の行動、指示で解決している。

・小村のエピソードはほぼドラマのオリジナルで、原作における小村は老人ホームにいることが説明されているが半沢とは接触しない。

・来生はドラマではフリーライターだが、原作では民間調査機関に属しており、半沢と依頼で調査を行い、東田の持つマンションなどの調査とその報告を行っている。

・東田はドラマ版ではベトナムで事業を起こそうと画策していたが原作では中国。

・ドラマで東田の資産の証拠を持ち出させるのに、東田の愛人・未樹に半沢らが話を持ちかけているが、原作において半沢らは未樹と会話するシーンはなく、未樹と付き合いがあった板橋を利用している。未樹のネイルサロンの下りや、半沢が開店の融資話を持ちかけるのはドラマオリジナル。

・原作では出向の内示が出る前に半沢は債権を回収している。浅野は支店長を降ろされるが、出向を示唆する程度でドラマのように具体的な出向先は明示されない。

・原作では伊勢島ホテルの専務は男性だが、ドラマでは女性に変更されている。名前も、原作の羽根夏彦がドラマでは羽根夏子に変更された。


反響

韓国での反響
文藝春秋社は2013年8月21日に「やっかいな隣人を黙らせる方法 韓国に“倍返し”だ!」を総力特集とした週刊文春を刊行した。韓国メディアはホワイトデーの倍返しが正反対のすさまじい意味で使われる社会になってしまったとして日本社会全般に広まった反韓感情や日本社会の無慈悲な冷たさが垣間見えるとした報道を行い、韓国の非難に対して産経新聞社は、倍返しにまで難クセつけるとは正気でないとして、反日なら何でもありの韓国メディアで日本バッシングが相次いでいることを報じた。

中国での反響
中国では上司の責任転嫁が常であるため、「やられたらやり返す、倍返しだ」が「人若犯我、必然加倍奉還」などに訳され中国でも人気となっている。放送は字幕つきでインターネットの動画サイトに違法にアップされ無料で見ることがでるようになっている。

半沢直樹 倍返し饅頭
オフィシャル商品として2013年8月中旬からTBSストアで発売された『半沢直樹 倍返し饅頭』は、それを買い求めるサラリーマンなどで長蛇の列になり、同月9日から先行発売されたネット通販でも1か月待ちになるほどの人気を博している。


Page Top | My Library Home