自衛官の心がまえ

1961年(昭和36年)6月28日に制定された自衛隊における精神教育の準拠。



 古い歴史とすぐれた伝統をもつわが国は、多くの試練を経て、民主主義を基調とする国家として発展しつつある。
 その理想は、自由と平和を愛し、社会福祉を増進し、正義と秩序を基とする世界平和に寄与することにある。これがためには民主主義を基調とするわが国の平和と独立を守り、国の存立と安全を確保することが必要である。
 世界の現実をみるとき、国際協力による戦争の防止のための努力はますます強まっており、他方において、巨大な破壊力をもつ兵器の開発は大規模な戦争の発生を困難にし、これを抑制する力を強めている。しかしながら国際間の紛争は依然としてあとを絶たず、各国はそれぞれ自国の平和と独立を守るため、必要な防衛態勢を整えてその存立と安全をはかっている。
 日本国民は、人類の英知と諸国民の協力により、世界に恒久の平和が実現することを心から願いつつ、みずから守るため今日の自衛隊を築きあげた。
 自衛隊の使命は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことにある。
 自衛隊は、わが国に対する直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行なわれるときは、これを排除することを主たる任務とする。
 自衛隊はつねに国民とともに存在する。したがって民主政治の原則により、その最高指揮官は内閣の代表としての内閣総理大臣であり、その運営の基本については国会の統制を受けるものである。
 自衛官は、有事においてはもちろん平時においても、つねに国民の心を自己の心とし、一身の利害を越えて公につくすことに誇りをもたなければならない。
 自衛官の精神の基盤となるものは健全な国民精神である。わけても自己を高め、人を愛し、民族と祖国をおもう心は、正しい民族愛、祖国愛としてつねに自衛官の精神の基調となるものである。
 われわれは自衛官の本質にかえりみ、政治的活動に関与せず、自衛官としての名誉ある使命に深く思いをいたし、高い誇りをもち、次に掲げるところを基本として日夜訓練に励み、修養を怠らず、ことに臨んでは、身をもって職責を完遂する覚悟がなくてはならない。

1 使命の自覚

(1) 祖先より受けつぎ、これを充実発展せしめて次の世代に伝える日本の国、その国民と国土を外部の侵略から守る。
(2) 自由と責任の上に築かれる国民生活の平和と秩序を守る。

2 個人の充実

(1) 積極的でかたよりのない立派な社会人としての性格の形成に努め、正しい判断力を養う。
(2) 知性、自発率先、信頼性及び体力等の諸要素について、ひろく調和のとれた個性を伸展する。

3 責任の遂行

(1) 勇気と忍耐をもって、責任の命ずるところ、身をていして任務を遂行する。
(2) 僚友互いに真愛の情をもって結び、公に奉ずる心を基とし、その持場を守りぬく。

4 規律の厳守

(1) 規律を部隊の生命とし、法令の遵守と命令に対する服従は、誠実厳正に行なう。
(2) 命令を適切にするとともに、自覚に基づく積極的な服従の習性を育成する。

5 団結の強化

(1) 卓越した統率と情味ある結合のなかに、苦難と試練に耐える集団としての確信をつちかう。
(2) 陸、海、空、心を一にして精強に励み、祖国と民族の存立のため、全力をつくしてその負託にこたえる。


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