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稲葉一鉄の下人

2ch



織田信長の武将として有名な稲葉一鉄の所で、下人の一人が罪を得、斬首にする、とした時の事。

その下人が

「命が惜しい!ここで殺されるのは嫌だ!」

と、泣き叫び暴れまわり、なかなか斬首が出来ないとの事

これを聞いた一鉄が、どんな未練な男かと見に来ると、彼は下人に似合わぬ面魂をしていた。

それを奇怪に思った一鉄は

「何故そんなに卑怯未練に泣き喚く。そんなに命が惜しいのか?」

と聞くと、下人は

「私は元々、あなたに謀略を持って殺された者の家臣だ。
主君の恨みを報じるため、あなたに一太刀でも加えようと、
この様に身を落としてまで生きながらえてきたが、つまらぬことで首を落とされることとなり、目的が果たせなくなった。それが悔しくて、泣いたのだ。」

その言葉を聴いた一鉄は、家臣に彼の縄を解かせた。

「お前の忠魂に免じ、解き放つ。わしを討てるものなら、討ってみよ。」

笑って言った。

「有難し」

そう吐き捨てて、下人は立ち去った。

数年し、一鉄は病にかかり、やがて死んだ。
その少し後、あの下人が、一鉄の墓に詣でた

「私は、あなたに一太刀参らせんと狙い続けていましたが、
ついに果たせず、あなたは身罷ってしまいました。
これでは斬首の折に泣いた事、あれは命惜しさとのためだと思われてしまいます。
 よって今、あなたの前で、相果てる」

そう言って、腹を掻っ切って、死んだ。


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