My Library Home

考想息止経(ヴィタッカサンターナ・スッタ)

仏教



第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、サーヴァッティの、
ジェータ林にある、アナータピンディカ園で、
集まって来た、比丘衆に、このように説かれた。

「増上心、すなわち、善き心を求める者が、
時に応じて、意を注ぐべき、五つの法がある。
それでは、この五つの法とは、如何なるものか。」

「第一の法は、悪い思いが、生じたときに、
それに対し、善い想いを、念じることである。
心から善いと思えると、悪い思いが消えていく。」

「例えば、彼を殺したいと、思ったときは、
反対に、彼を愛したいと、念じるべきである。
慈愛が善いと想えると、心の瞋恚が消えていく。」

「第二の法は、悪い思いが、生じたときに、
それが生む、悪い想いを、考えることである。
悪しき果を見とめると、悪い思いが消えていく。」

「例えば、物を偸みたいと、思ったときは、
それ故、物を盗まれると、考えるべきである。
偸盗が悪いと想えると、心の貪欲が消えていく。」

「第三の法は、悪い思いが、生じたときに、
それを生む、悪い想いを、考えることである。
悪しき因を見とめると、悪い思いが消えていく。」

「例えば、嘘を吐きたいと、思ったときは、
何故に、嘘を吐きたいか、考えるべきである。
虚妄の弱さを認めると、心の愚痴が消えていく。」

「第四の法は、悪い思いが、生じたときに、
それを抑え、悪い思いを、捨てることである。
離れて認めていないと、悪い思いは消えていく。」

「例えば、他を嫉みたいと、思ったときは、
心から、他を嫉むまいと、考えるべきである。
新たな火を与えないと、心の嫉妬は消えていく。」

「第五の法は、悪い思いが、生じたときに、
それを見て、悪い思いを、越えることである。
離れて見とめていくと、悪い思いは消えていく。」

「例えば、仏を疑うべきと、思ったときは、
何より、己を疑うべきと、考えるべきである。
自らの慢を見とめると、心の疑惑は消えていく。」

これを聞いた、諸々の比丘は、歓喜し実践した。


Page Top | My Library Home