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ヴェーカナッサ経(ヴェーカナッサ・スッタ)

仏教

遍歴行者ヴェーカナッサとの対話



目次

第一章 |  第二章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、サーヴァッティの、
アナータピンディカ園に、止まっておられた。
ヴェーカナッサが訪れると、このように言った。

「ゴータマよ、わたしは、最高の色を説く。」
「遍行者よ、ということは、最高の色は何か。」
「ゴータマよ、類が見れない、最高の色である。」

「友よ、最高を説いても、最高を解かない。
それでは、信用を無くすと、言わざる得ない。
例えば、ここに、最高の美女を連れて来なさい。」

「ゴータマよ、その美女の名を、教え給え。」
「遍行者よ、名は知らないが、最高の美女だ。」
「では、無理である、誰が最高か確められない。」

「遍行者よ、まさしく、これと同じである。
名が付けられるのは、命を確めるためであり、
実に、概念を説くのは、概念を解くためである。」

「最高を説くのは、最高を解くためであり、
最高に囚われて、最高を論じるためではない。
越えるべきものに、囚われるのは、転倒である。」

「ヴェーカナッサよ、石の光と蛍の光では、
どちらの方が、より明るい、光と言えようか。」
「より光るのは、間違いなく、蛍の光の方かと。」

「ヴェーカナッサよ、蛍の光と灯の光では、
どちらの方が、より明るい、光と言えようか。」
「より光るのは、間違いなく、灯の光の方かと。」

「ヴェーカナッサよ、灯の光と月の光では、
どちらの方が、より明るい、光と言えようか。」
「より光るのは、間違いなく、月の光の方かと。」

「ヴェーカナッサよ、月の光と日の光では、
どちらの方が、より明るい、光と言えようか。」
「より光るのは、間違いなく、日の光の方かと。」

「遍行者よ、わたしなら、このように説く。
更に、わたしは、それ以上の光を知っている。
それを知っていて、なお、囚われることがない。」

 

第二章

「遍行者よ、五つの処が、明らめるところ。
五根が、究めているところ、五つの欲がある。
それでは、この五つの欲とは、如何なるものか。

第一の欲は、眼に於いて明らめる、色欲である。
第二の欲は、耳に於いて明らめる、声欲である。
第三の欲は、鼻に於いて明らめる、香欲である。
第四の欲は、舌に於いて明らめる、味欲である。
第五の欲は、身に於いて明らめる、触欲である。」

「これら、五つの根に於いて、欲を究める。
小さな欲が解かれず、大きな欲は説かれない。
小さな欲が説かれ、大いなる欲が解かれていく。」

「一先ず、未来のことは、脇に置いておけ。
子が大きくなって、自ずと立ち上がるように、
自ずと湧き上がって、考える時が来るであろう。」

「教えを聞いて、先が見える者は来なさい。
私が教えた通りに、道を修めようとする者は、
自ら道を知るだろう、自ずから道を見るだろう。」

法悦が湧き上がった、彼は、このように言った。

「ああ、これは、とても、妙なる教えです。
さながら、暗闇の中で、灯火を掲げるように、
仏陀は、私の見えない目に、見せてくれました。」

「仏陀よ、これより、この命が尽きるまで、
私は、心から、仏と法と僧に帰依し奉ります。
三宝の帰依者として、どうか受け容れて下さい。」


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