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蟻喩経(ヴァンミーカ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、サーヴァッティの、
アナータピンディカ園に、止まっておられた。
そこに、カッサパが訪れて、このように言った。

「尊師よ、昨夜のこと、美しい神が現れて、
このような、謎を説いて、消えて行きました。
この謎の意味する所を、どうぞ、解いて下さい。」

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
掘り進めて行くと、何が見えるか、閂が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
閂を除いて進むと、何が見えるか、蛙が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
蛙を除いて進むと、何が見えるか、塊が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
塊を除いて進むと、何が見えるか、蓋が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
蓋を除いて進むと、何が見えるか、鼈が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
鼈を除いて進むと、何が見えるか、蛇が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
蛇を除いて進むと、何が見えるか、肉が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
肉を除いて進むと、何が見えるか、龍が見える。』

『昼には炎を上げ、夜には煙を上げている。
燃え上がる蟻の塚を、剣を以って彫り尽くせ。
龍に触れてはならない、賢者は、龍に帰依せよ。』

 

第二章

「カッサパよ、塚とは、身体のことである。
蟻が集まり、無数の力をして、保っていても、
蟻に過ぎない、微力な物として、壊れてしまう。」

「カッサパよ、炎とは、現れたものである。
夜に考えたことを、昼に行なうことによって、
人の身と心は、煩悩を燃え上がらせる、と解く。」

「カッサパよ、煙とは、隠れたものである。
昼に行ったことを、夜に考えることによって、
人の身と心は、煩悩を燃え上がらせる、と解く。」

「カッサパよ、剣とは、智慧のことである。
智慧の刀をして、煩悩を打ち壊すことにより、
弛むことなく、意識を掘り下げていく、と解く。」

「カッサパよ、閂とは、無明のことである。
無明の闇は、真っ先に現れ、堅く道を閉ざし、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、蛙とは、瞋恚のことである。
瞋恚の炎は、その次に現れ、膨れて道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、塊とは、愚痴のことである。
愚痴の塊は、その次に現れ、迷わせ道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、蓋とは、障害のことである。
五つの蓋は、その次に現れ、封じて道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、鼈とは、執着のことである。
六つの取は、その次に現れ、噛んで道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、蛇とは、渇愛のことである。
六つの愛は、その次に現れ、絡んで道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、肉とは、接触のことである。
六つの触は、その次に現れ、纏わり道を鎖し、
これより、心の深奥に迫ることを拒む、と解く。」

「カッサパよ、龍とは、羅漢のことである。
眼耳鼻舌身意の触を越え、空に跳び立つもの。
羅漢に帰依しなさい、汝は賢者である、と解く。」

これを聞いた、カッサパは、歓喜して実践した。


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