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優曇婆邏経(ウドゥンバリカー・スッタンタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章 |  第三章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ラージャガハにある、
ギッジャクータという名の、山に止まっていた。

その頃、ニグローダは、三千人の遊行者と、
ウドゥンバリカーという、林に止まっていた。
そこに、仏陀の後援者、サンダーナが訪問した。

彼らは、声を張り上げ、雑談に興じていた。
恭しく挨拶してから、資産家のサンダーナは、
遊行者のニグローダに、このように話し掛けた。

「なるほど、異教の遊行者は、違いますね。
仏陀は、独り静かに坐ることを、好まれるが、
遊行者は、皆で騒いで語ることを、好まれるか。」

「長者よ、彼方は、知らないかもしれない。
仏陀は、長い間、引き篭もってしまったため、
遊行者と、語り合うだけの、智慧がありません。」

その様子を、天耳通で聞いていた、仏陀は、
空中を歩行し、ニグローダが居る所を訪れた。
ニグローダは座を設けて、仏陀に、こう尋ねた。

「完全なる苦行とは、如何なるものですか。
完全ではない苦行とは、如何なるものですか。
世尊よ、どうか、苦行について、説いて下さい。」

「苦行は、悪業を落し、苦悩を越えるもの。
苦悩を越えるならば、完全なる苦行となるが、
苦悩に囚われるならば、完全なる苦行ではない。」

「苦行を行いながら、苦行に酔ってしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

「苦行を行いながら、自説に拘ってしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

「苦行を行いながら、周囲に見せてしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

「苦行を行いながら、供養を求めてしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

「苦行を行いながら、信者を集めてしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

「苦行を行いながら、他人を貶めてしまう。
これは、苦行で生じる、味著に囚われている。
ニグローダよ、こうした苦行は、完全ではない。」

 

第二章

「最上たる苦行とは、如何なるものですか。
どのような苦行が、精髄を究めたものですか。
世尊よ、どうか、私を真の苦行に導いて下さい。」

「ニグローダよ、苦行の精髄を究めている、
最上たる苦行には、守るべき四つの戒がある。
それでは、この四つの戒とは、如何なるものか。

第一の戒は、殺生をしない、不殺生の戒である。
第二の戒は、偸盗をしない、不偸盗の戒である。
第三の戒は、妄語をしない、不妄語の戒である。
第四の戒は、邪淫をしない、不邪淫の戒である。」

「ニグローダよ、苦行の精髄を究めている、
最上たる苦行には、取るべき五つの蓋がある。
それでは、この五つの蓋とは、如何なるものか。

第一の蓋は、貪りに捕らわれる、貪欲蓋である。
第二の蓋は、瞋りに捕らわれる、瞋恚蓋である。
第三の蓋は、眠りに捕らわれる、昏眠蓋である。
第四の蓋は、焦りに捕らわれる、掉悔蓋である。
第五の蓋は、疑いに捕らわれる、愚痴蓋である。」

「ニグローダよ、苦行の精髄を究めている、
最上たる苦行には、培うべき四つの心がある。
それでは、この四つの心とは、如何なるものか。

第一の心は、慈に満ちている、慈無量心である。
第二の心は、悲に満ちている、悲無量心である。
第三の心は、喜に満ちている、喜無量心である。
第四の心は、捨に満ちている、捨無量心である。」

「このように、最上の苦行を修めた行者は、
一生、十生、百生、千生と、前世を思い出す。
そして、清らかな天眼により、来世を見て透す。」

 

第三章

こうして、仏陀が、苦行について説かれると、
在俗信男のサンダーナは、ニグローダに言った。

「実に、仏陀の智慧は、素晴らしいものだ。
異教の苦行者に、真の苦行を説き明かすとは。
ニグローダよ、こう言ったのを、覚えているか。」

『長者よ、彼方は、知らないかもしれない。
仏陀は、長い間、引き篭もってしまったため、
遊行者と、語り合うだけの、智慧がありません。』

黙り込んで、肩を落した、彼の姿を見とめて、
仏陀は、ニグローダに対し、このように言った。

「ニグローダよ、確かに、汝は罪を犯した。
しかし、今は、このように、罪を悔いている。
罪を懺悔すれば、悪しき業も、善き業に変わる。」

「七年とは言わない、七ヶ月とも言わない。
七日間で良いから、仏陀の元に出家しなさい。
完全である苦行、最上の清浄行が分かるだろう。」

「邪道を離れないと、正道は認められない。
私は、外の道を越える、真の道を説いている。
ニグローダよ、さあ、仏陀の元に出家しなさい。」

このように、仏陀から、厳しく言われても、
彼らは、黙り込んで、肩を落したままだった。
彼らを見つめ、仏陀は、このように獅子吼した。

「悪しき者に憑かれ、悪しき道を離れない。
悪しき業を重ねた者は、正しい道に入れない。
真の別れ道に於いて、七日間が何だと言うのか。」

そうして、空中に昇って、仏陀は帰って行った。


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