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施羅経(セーラ・スッタ)

仏教

真理の王



目次

第一章 |  第二章 |  第三章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、千以上の比丘衆と、
アングッタラーパの地に、止まっておられた。
そこに、ケーニヤが訪れて、このように言った。

「世尊の教えを受けて、法悦が生じました。
あなたは、阿羅漢であり、等正覚であります。
世尊よ、どうか、わたしの供養を受けて下さい。」

「ケーニヤよ、比丘衆が、千人以上もいる。
これだけの、人数の供物を、用意できるのか。
あなたは、既に、多くの婆羅門を供養している。」

「世尊よ、気になさることは、有りません。
私が受けたものは、それを、遥かに優ります。
世尊よ、どうか、わたしの供養を受けて下さい。」

「ケーニヤよ、比丘衆が、千人以上もいる。
これだけの、人数の供物を、用意できるのか。
あなたは、既に、多くの婆羅門を供養している。」

「世尊よ、気になさることは、有りません。
私が受けたものは、それを、遥かに優ります。
世尊よ、どうか、わたしの供養を受けて下さい。」

世尊は、彼の懇願に、沈黙によって、同意した。

 

第二章

当時、セーラという婆羅門が、住んでいた。
語彙論、活用論、音韻論、語源論にも通じて、
あらゆる、聖典の語句と文法にも、通じていた。

彼は、ケーニヤから、ゴータマの話を聞き、
本当に聖者なのか、会って確かめようとした。
偉大な人物には、三十二の相があるはずである。

彼は、仏陀の元を訪ねて、恭しく挨拶した。
仏陀に、三十二相の内、三十相を見とめたが、
残る二つに関しては、外からは見られなかった。

残る二つの相は、陰蔵相と広長舌相であり、
陰蔵相とは、陰部が隠されていることであり、
広長舌相とは、舌が広くて、長いことであった。

仏陀は、彼が困っているのを、見とめると、
神通を使って、残る二つの相を、彼に見せた。
すると、俄かに信が生じて、このように言った。

「ゴータマよ、貴方は、王の中の王であり、
そういう人物は、二つの運命しか存在しない。
在家で聖王となるのか、出家し世尊となるのか。」

「家に在れば、七宝を修め、四方を治める。
家を出れば、七科を修め、四諦を収められる。
どうか、王の中の王として、地を治めて下さい。」

仏陀は、セーラに向かって、このように答えた。

「セーラよ、わたしは、王の中の王である。
誰も回せなかった、法の輪を回すものであり、
誰も逆らえなかった、時の輪に従うものである。」

「世尊よ、あなたが、回し始めた法の輪を、
続いて回し始める、法の息子とは、誰ですか。」
「セーラよ、一番の弟子、サーリプッタである。」

 

第三章

セーラは、連れて来た、自分の弟子達に言った。

「諸君、わたしは、仏陀の僧伽に出家する。
従いたい者は従がえ、従いたくない者は去れ。
真理を求める者は、わたしに、着いて来なさい。」

セーラに倣って、三百人の弟子が出家した。
その中の一人、ケーニヤは、仏陀を招待して、
比丘衆を供養し、このように、歓喜を表現した。

「火の中の火とは太陽、水の中の水とは海。
聖者の中の聖者とは仏陀、王の中の王は世尊。
私が為し得た、この供養は、最上の供養である。」

セーラと、その仲間達は、修行に専念した。
そして、もはや、生まれ変わらない事を悟り、
セーラは、その仲間と共に、阿羅漢に到達した。

それは、彼らが出家して、八日目のことだった。


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