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サンダカ経(サンダカ・スッタ)

仏教

遍歴行者サンダカの帰依



目次

第一章 |  第二章 |  第三章 |  第四章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ヴァンサ国にある、
コーサンビーの、ゴーシタ園に止まっていた。
その地には、サンダカと五百人の遍行者が居た。

あるとき、アーナンダが、彼らを訪ねると、
彼らは、大きな声を出して、論じ合っていた。
アーナンダに気が付くと、彼らは静かになった。

サンダカは、アーナンダに恭しく挨拶して、
彼に自らの席を譲ると、傍にある席に座った。
そして、アーナンダに対し、このように言った。

「不浄な考えが、四つあると聞いています。
友、アーナンダよ、この四つを説いて下さい。
世尊が説かれた、不浄な考えを、解いて下さい。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、不浄な考え、
外道が、解き明かしている、四つの論がある。
それでは、この四つの論とは、如何なるものか。」

「第一の論は、唯物を説く、唯物論である。
この考えは、ケーサカンバラに説かれている。
即ち、地、水、火、風があり、転生などないと。」

「第二の論は、非業を説く、非業論である。
この考えは、カッサパによって説かれている。
即ち、悪因を報いようと、悪果で酬われないと。」

「第三の論は、宿命を説く、宿命論である。
この考えは、ゴーサーラにより説かれている。
即ち、終焉が訪れるまで、輪廻は終わらないと。」

「第四の論は、元素を説く、七要素である。
この考えは、カッチャーヤナに説かれている。
即ち、地、水、火、風、苦、楽、命だけあると。」

 

第二章

「不安な考えが、四つあると聞いています。
友、アーナンダよ、この四つを説いて下さい。
世尊が説かれた、不安な考えを、解いて下さい。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、不安な考え、
外道が、解き明かしている、四つの論がある。
それでは、この四つの論とは、如何なるものか。」

「第一の論は、全知を誇る、全知論である。
すべてを知っているのに、誤まることがある。
それを言われても、誤るべきだったと謝らない。」

「第二の論は、伝承に拘る、伝承論である。
自ら考えることなく、伝えられた物を信じる。
少しでも歪むと、後から、大きく歪んでしまう。」

「第三の論は、理論に拘る、理論家である。
法に囚われてしまい、業を越えることがない。
論に捕らわれてしまい、法も業になってしまう。」

「第四の論は、詭弁に陥る、詭弁論である。
これも誤まりであり、あれも誤まりであると、
決して、自らが謝らない所だけ、誤まりがない。」

 

第三章

「遍行者よ、世尊が説かれた、十つの戒律。
仏陀の、弟子が護っている、十つの戒がある。
それでは、この十つの戒とは、如何なるものか。

第一の戒は、殺生を禁じる、不殺生の戒である。
第二の戒は、偸盗を禁じる、不偸盗の戒である。
第三の戒は、邪淫を禁じる、不邪淫の戒である。
第四の戒は、虚言を禁じる、不妄語の戒である。
第五の戒は、冗談を禁じる、不綺語の戒である。
第六の戒は、悪口を禁じる、不悪口の戒である。
第七の戒は、陰口を禁じる、不両舌の戒である。
第八の戒は、貪欲を禁じる、不慳貪の戒である。
第九の戒は、瞋恚を禁じる、不瞋恚の戒である。
第十の戒は、愚痴を禁じる、不邪見の戒である。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、六つの感官。
仏陀の、弟子が護っている、六つの根がある。
それでは、この六つの根とは、如何なるものか。

第一の根は、眼により色を感じる、眼根である。
第二の根は、耳により声を感じる、耳根である。
第三の根は、鼻により香を感じる、鼻根である。
第四の根は、舌により味を感じる、舌根である。
第五の根は、身により触を感じる、身根である。
第六の根は、意により法を感じる、意根である。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、六つの境界。
仏陀の、弟子が念じている、六つの境がある。
それでは、この六つの境とは、如何なるものか。

第一の境は、何を見ているのか、いつも念じよ。
第二の境は、何を聞いているか、いつも念じよ。
第三の境は、何を嗅いでいるか、いつも念じよ。
第四の境は、何を味っているか、いつも念じよ。
第五の境は、何を触れているか、いつも念じよ。
第六の境は、何を覚えているか、いつも念じよ。」

 

第四章

「遍行者よ、世尊が説かれた、四つの禅定。
仏陀の、弟子が修めている、四つの禅がある。
それでは、この四つの禅とは、如何なるものか。

第一の定は、有尋有伺である、第一禅定である。
第二の定は、無尋無伺である、第二禅定である。
第三の定は、正念楽住である、第三禅定である。
第四の定は、捨念清浄である、第四禅定である。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、三つの智慧。
仏陀の、弟子が具えている、三つの明がある。
それでは、この四つの明とは、如何なるものか。

第一の慧は、過去の明知である、宿命通である。
第二の慧は、未来の明知である、天眼通である。
第三の慧は、現在の明知である、漏尽通である。」

「遍行者よ、世尊が説かれた、三つの煩悩。
仏陀の、弟子が尽している、三つの漏がある。
それでは、この三つの漏とは、如何なるものか。

第一の漏は、欲望から漏れている、欲漏である。
第二の漏は、生存から漏れている、有漏である。
第三の漏は、無明により漏れる、無明漏である。」

「遍行者よ、煩悩を滅尽した、聖なる者が、
自ずと、犯す事がなくなる、五つの戒がある。
それでは、この五つの戒とは、如何なるものか。

第一の戒は、殺生をしない、不殺生の戒である。
第二の戒は、偸盗をしない、不偸盗の戒である。
第三の戒は、邪淫をしない、不邪淫の戒である。
第四の戒は、妄語をしない、不妄語の戒である。
第五の戒は、蓄財をしない、不蓄財の戒である。」

「遍行者よ、煩悩を滅尽した、聖なる者は、
いつでも、あたかも、自らの手足を見るよう、
自らの煩悩を見て、既に無い事を知るのである。」

「アーナンダよ、実に、素晴らしい法です。
この聖なる道に進む者は、何人居るのですか。」
「サンダカよ、五百人、いや、それ以上である。」

サンダカは、他の遍行者に、このように言った。

「友よ、汝らは、ゴータマに従がうと良い。
彼は、清らかな行いを、良く修められている。
アージーヴァカ派を離れ、ゴータマの道を進め。」


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