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猟師経(ニヴァーパ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章 |  第三章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、サーヴァッティの、
ジェータ林にある、アナータピンディカ園で、
集まって来た、比丘衆に、このように説かれた。

「比丘達よ、猟師は、山の鹿に餌を与える。
それは、鹿のためではなく、彼のためである。
猟師に関わる、四つの鹿とは、如何なるものか。」

「第一の鹿は、餌を食べて、餌に囚われる。
彼らは、餌を食べている間に、猟師に捕まる。
彼が近づいても、餌に囚われて、逃げられない。」

「第二の鹿は、餌を食べず、餌に囚われる。
彼らは、餌が減ってくる時に、餌に囚われる。
餌に近づいて、食べてしまうと、猟師に捕まる。」

「第三の鹿は、餌を食べて、餌に囚われぬ。
彼らは、彼が近づいて来ると、餌から離れる。
それゆえ、彼は遠くから囲って、鹿を捕まえる。」

「第四の鹿は、餌を食べず、餌に囚われぬ。
彼らは、餌に近づかない、食べようとしない。
それゆえ、決して囚われず、決して捕われない。」

 

第二章

「比丘達よ、比丘衆も、これと同じである。
猟師を悪魔に置いて、鹿を比丘に換えなさい。
悪魔が、諸々の比丘を捕えようと、企んでいる。」

「比丘達よ、悪魔は、比丘衆に餌を与える。
それは、僧のためではなく、彼のためである。
悪魔に関わる、四つの僧とは、如何なるものか。」

「第一の僧は、利を求めて、利に囚われる。
彼らは、利を求めている間に、悪魔に捕まる。
彼が近づいても、利に囚われて、逃げられない。」

「第二の僧は、利を求めず、利に囚われる。
彼らは、利が減ってくる時に、利に囚われる。
利に近づいて、求めてしまうと、悪魔に捕まる。」

「第三の僧は、利を求めて、利に囚われぬ。
彼らは、彼が近づいて来ると、利から離れる。
それゆえ、彼は遠くから囲って、僧を捕まえる。」

「第四の僧は、利を求めず、利に囚われぬ。
彼らは、利に近づかない、求めようとしない。
それゆえ、決して囚われず、決して捕われない。」

 

第三章

「比丘達よ、悪魔の呪縛から、離れていく、
悪魔の支配を、越えていく、九つの禅がある。
それでは、この九つの定とは、如何なるものか。」

「第一の段とは、思いが有り、考えが有り、
欲を捨てて生じる、歓喜を体験する禅である。
彼は、欲界の魔天を越え、色界の梵衆天に至る。」

「第二の段とは、思いが無く、考えが無く、
想を捨てて生じる、歓喜を体験する禅である。
彼は、梵衆天の世を越えて、光音天の界に至る。」

「第三の段とは、正念が有り、正知が有る
喜を捨てて生じる、大楽を体験する禅である。
彼は、光音天の世を越えて、遍浄天の界に至る。」

「第四の段とは、大楽が無く、清浄が有る、
楽を捨てて生じる、清浄を体験する禅である。
彼は、遍浄天の世界を越えて、色究竟天に至る。」

「第五の段とは、有辺であり、無辺である、
有辺と無辺の対立を越えた、無色の界である。
彼は、色究竟天の世を越えて、空無辺処に至る。」

「第六の段とは、有識であり、無識である、
有識と無識の対立を越えた、無色の界である。
彼は、空無辺処の世を越えて、識無辺処に至る。」

「第七の段とは、有我であり、無我である、
有我と無我の対立を超えた、無色の界である。
彼は、識無辺処の世を越えて、無所有処に至る。」

「第八の段は、非想であり、非非想である、
非想と非非想の対立を越えた、無色界である。
彼は、無所有処を越えて、非想非非想処に至る。」

「四つの色界を越え、四つの無色界を超え、
あらゆる想を滅し、滅想受定に入るのである。
そのとき、彼は、完全に悪魔の支配を脱却する。」

これを聞いた、諸々の比丘は、歓喜し実践した。


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