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鬚閑提経(マーガンディヤ・スッタ)

仏教

最上の利得と安楽



目次

第一章 |  第二章 |  第三章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、クル国に存在する、
カンマッサダンマの村に、止まっておられた。
そこに、マーガンディヤが訪れて、こう言った。

「ゴータマよ、感覚を滅せよと、汝は説く。
良く味わえるならば、良く味わうべきである。
ゴータマよ、汝の法は、感覚の破壊に過ぎない。」

「遍行者よ、眼に於いて、色を愛する者が、
色の味著と禍患を知り、眼を出離に至るとき、
彼の心は静められて、彼の精神は安らかになる。」

「遍行者よ、耳に於いて、声を愛する者が、
声の味著と禍患を知り、耳を出離に至るとき、
彼の心は静められて、彼の精神は安らかになる。」

「遍行者よ、鼻に於いて、香を愛する者が、
香の味著と禍患を知り、鼻を出離に至るとき、
彼の心は静められて、彼の精神は安らかになる。」

「遍行者よ、舌に於いて、味を愛する者が、
味の味著と禍患を知り、舌を出離に至るとき、
彼の心は静められて、彼の精神は安らかになる。」

「遍行者よ、意に於いて、法を愛する者が、
法の味著と禍患を知り、意を出離に至るとき、
彼の心は静められて、彼の精神は安らかになる。」

「楽を見とめれば、苦しみを認めてしまい、
苦しみを見とめれば、苦しみを認めなくなる。
こうであっても、汝は、楽を味わえと言うのか。」

 

第二章

「遍行者よ、以前、私が在家者だったとき、
私には、雨季と冬季と夏季、三つ宮殿があり、
特に、雨季に於いては、女性と戯れ遊んでいた。」

「こうして、わたしは、五つの欲を究めて、
味著と禍患を味わい、欲を出離したのである。
今では、私の心は、静かであり、安らかである。」

「遍行者よ、欲を究めて、楽と苦を極めた、
この私が、果たして、他の楽を羨むと思うか。
たとえ、天界の楽をしても、私の心は動じない。」

「遍行者よ、以前、私が出家者だったとき、
私には、身業と口業と意業、三つ苦行があり、
特に、身業に於いては、肉体を痛め付けていた。」

「こうして、わたしは、五つの欲を究めて、
味著と禍患を味わい、欲を出離したのである。
今では、私の心は、静かであり、安らかである。」

「遍行者よ、欲を究めて、楽と苦を極めた、
この私が、果たして、他の苦を羨むと思うか。
たとえ、地獄の苦をしても、私の心は動じない。」

「半端であるほど、欲望は際限を知らない。
楽に囚われると、喜んで、楽しみに捕われて、
苦に捕らわれると、泣いて、苦しみに囚われる。」

「遍行者よ、欲を究めて、楽と苦を極めた、
この私が、果たして、他の欲を羨むと思うか。
苦楽を超え、欲を越えた空が、絶対の楽である。」

 

第三章

「ゴータマよ、実に、素晴らしいことです。
貴方の説かれたことは、聖者が説かれたこと、
我が師が説かれたことに、良く一致しています。」

「眼が見えない人に、色が見えるだろうか。
白と言われて、黒を受けても、彼は解らない。
なにより、眼を開くことが、先ず必要であろう。」

「遍行者よ、なにより、善き友と親交せよ。
善き友の中に入れば、善き法を修めるだろう。
悪しき友の中に残れば、悪い業を重ねるだろう。」

法悦が湧き上がった、彼は、このように言った。

「ああ、これは、とても、妙なる教えです。
さながら、暗闇の中で、灯火を掲げるように、
仏陀は、私の見えない目に、見せてくれました。」

「仏陀よ、これより、この命が尽きるまで、
私は、心から、仏と法と僧に帰依し奉ります。
三宝の帰依者として、どうか受け容れて下さい。」

「マーガンディヤよ、異教徒から出離せよ。
四ヶ月の間、冷静に自分を見つめる時を持て。
四ヶ月の後に、汝に戒を与え、出家を認めよう。」

「尊師、ゴータマよ、出家の為であるなら、
四ヶ月と言わずに、四年間でも待ちましょう。
それゆえ、時機が来たら、どうか迎えて下さい。」

こうして、マーガンディヤは、出家を果した。
そして、戒律を受けて励み、阿羅漢に到達した。


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