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陶師経(ガティーカーラ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章 |  第三章 |  第四章 |  第五章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

比丘達と、コーサラ国を遊行していた時に、
仏陀は、突然、ある場所で止まり、微笑んだ。
それを見た、アーナンダは、このように尋ねた。

「尊師よ、どうして、微笑まれたのですか。
覚者が、原因なく、微笑む事はありますまい。
ここで微笑んだのは、何か理由があるはずです。」

仏陀は、長老アーナンダに、このように答えた。

「その昔、ヴェーバリンガという町があり、
この辺りに、カッサパ仏が止まっておられた。
そして、丁度、ここで、法を説かれていたのだ。」

アーナンダは、地に着物を布いて、こう言った。

「尊師よ、では、この場所に、お座り下さい。
ここは、二人の仏が、親しむ場になりましょう。」

 

第二章

座ると、仏陀は、比丘衆に、このように説いた。

「その昔、焼物師、ガティーカーラが居た。
彼は、カッサパ仏の、第一の奉仕者であって、
彼には、ジョーティパーラという、親友が居た。」

「ガティーカーラは、親友に、こう言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
『いや、友よ、あんな奴は、糞坊主じゃないか。』

「ガティーカーラは、親友に、こう言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
『いや、友よ、あんな奴は、糞坊主じゃないか。』

「ガティーカーラは、親友に、こう言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
『いや、友よ、あんな奴は、糞坊主じゃないか。』

「ガティーカーラは、親友に、こう言った。」
『それなら、友よ、河まで、沐浴しに行こう。』
『いいな、友よ、沐浴ならば、一緒に行こうか。』

「ガティーカーラは、親友に、こう言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
『いや、友よ、あんな奴は、糞坊主じゃないか。』

「すると、彼は、友の帯を掴まえて言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
『いや、友よ、あんな奴は、糞坊主じゃないか。』

「すると、彼は、友の髪を掴まえて言った。」
『さあ、友よ、カッサパ仏に、会いに行こう。』
「そのとき、ジョーティパーラは、こう思った。」

『彼が、髪を引っ張るなんて、大変なことだ。
ここまでやるのは、只ならないことに違いない。』

「そして、ジョーティパーラは、こう言った。」
『そこまで言うなら、君と一緒に会いに行こう。』

 

第三章

「ジョーティパーラと、ガティーカーラは、
カッサパ仏の所に赴いて、恭しく挨拶すると、
傍らに座って、仏陀に対し、このように言った。」

『彼は、私の親友の、ジョーティパーラです。
私の親友のために、尊師よ、法を説いて下さい。』

「カッサパ仏が、彼らのために説法すると、
彼らは非常に喜び、恭しく挨拶し立ち去った。
その帰り道、ジョーティパーラは、友に言った。」

『友よ、どうして、君は、出家しないんだ。』
『友よ、盲目の両親が居るのを、知らないか。』
『そうか、それでは、私だけでも、出家しよう。』

「ジョーティパーラと、ガティーカーラは、
カッサパ仏の所に赴いて、恭しく挨拶すると、
傍らに座って、仏陀に対し、このように言った。」

『尊師よ、彼が、出家したいと言っています。
私の親友のために、尊師よ、出家させて下さい。』

「比丘衆よ、こうして、ジョーティパーラは、
カッサパ仏の下、戒を得て、出家したのである。」

 

第四章

「ジョーティパーラが、戒を受けて半月後、
カッサパ仏は、ヴェーバリンガを発ってから、
順々に遊行して、バーラナシーに入って行った。」

「カッサパ仏が、バーラナシーに存在する、
イシパタナ・ミガダーヤを訪れた事を知ると、
カーシー国王である、キキーは、仏陀を訪ねた。」

「仏陀は、法を説いて、国王を歓喜させた。
すると、王は、カッサパ仏に、こう申し出た。」
『尊師よ、どうか、私の食事を、お受け下さい。』

「仏陀が黙って同意すると、国王は喜んだ。
早速、料理を用意させて、仏陀を持て成すと、
食事が終わるのを待ち、仏陀に、こう申し出た。」

『尊師よ、どうか、住居を、お受け下さい。
バーラナシーに、雨期の住居が必要でしょう。』
『大王よ、私には、すでに住んでいる家がある。』

『尊師よ、どうか、住居を、お受け下さい。
バーラナシーに、雨期の住居が必要でしょう。』
『大王よ、私には、すでに住んでいる家がある。』

『尊師よ、どうか、住居を、お受け下さい。
バーラナシーに、雨期の住居が必要でしょう。』
『大王よ、私には、すでに住んでいる家がある。』

「三度、頼んでも、受けて貰えなかったため、
このことに、国王は、ひどく落胆したのである。」

 

第五章

「落胆を隠せない、国王は、仏陀に尋ねた。」
『尊師よ、この辺りで、国王である私よりも、
仏陀に奉仕する者が、本当に居るのでしょうか。』

『大王よ、ヴェーバリンガという町がある。
そこに、ガティーカーラという焼物師が居る。
彼は、第一の奉仕者で、私に落胆する事がない。』

『大王よ、彼は、仏法僧、三宝に帰依して、
在家の五つの戒を守り、四諦を決して疑わず、
土から器を作り、他に与えて、食べ物に換える。』

『大王よ、彼は、盲目の父と母を扶養して、
完全に、五下分結を破壊して、化生者となり、
完全に煩悩を破壊して、不還となったのである。』

『大王よ、私は、かつて、彼の親に言った。』
「息子のガティーカーラは、どこに居ますか。」
「今は居ませんが、供物の用意は出来ています。」

『大王よ、彼は、帰って来て、こう言った。』
「留守中に、私の供物を食べたのは誰ですか。」
「息子よ、安心なさい、カッサパ仏、本人です。」

『大王よ、それを聞いて、彼は打ち震えた。
「これほどに、仏陀が、信頼してくれるとは。」
彼は半年間、親は七日間、歓喜が去らなかった。』

『大王よ、私は、かつて、比丘衆に言った。』
「雨漏りが激しい、ガティーカーラを訪ねて、
彼の家から、雨漏りを防ぐ藁を持って来なさい。」

『大王よ、比丘衆は赴き、彼の親に言った。』
「雨漏りを防ぐため、仏陀が藁を求めてます。」
「さあ、遠慮なく、この家の藁を剥して下さい。」

『大王よ、彼は、帰って来て、こう言った。』
「留守中に、家の屋根を剥したのは誰ですか。」
「息子よ、安心なさい、カッサパ仏、本人です。」

『大王よ、それを聞いて、彼は打ち震えた。
「これほどに、仏陀が、信頼してくれるとは。」
彼は半年間、親は七日間、歓喜が去らなかった。』

「この話しを聞いた、国王は、甚く感心して、
ガティーカーラに、五百の車を贈ったのである。」

「さて、比丘衆よ、このジョーティパーラは、
他の者でもない、この私の前世そのものである。」

これを聞いた、諸々の比丘は、歓喜し実践した。


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