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長爪経(ディーガナカ・スッタ)

仏教

世間の論説を越える道



目次

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第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ラージャグリハの、
ギッジャクータ山の中に、止まっておられた。
訪れると、ディーガナカは、このように言った。

「わたしは、あらゆる見解も、認めません。」
「ディーガナカよ、それならば、その見解も、
汝は、認められない、ということになるだろう。」

「ゴータマよ、これだけは、例外なのです。」
「ディーガナカよ、そうして、例外を作って、
見解に漏れを作れば、何も言ってないに等しい。」

このように言われ、彼は、黙り込んでしまった。

「全て認める、という、見解に囚われても、
総べて認めない、という、見解に捕われても、
貪欲から離れられないため、解脱し得なくなる。」

「全てを認めると、主張する者が現われて、
総べてを認めないと、主張する者が現れると、
対立することになって、論争が生じるであろう。」

「愚者は、論争して、煩悩を選ぼうとして、
賢者は、論争しないで、菩提を択ぼうとする。
ダルマも囚われると、カルマに腐ることを知る。」

 

第二章

「遍歴行者よ、この身を、為しているもの。
無常であり、苦しみである、四つの元がある。
それでは、この四つの元とは、如何なるものか。

第一の元は、固体の要素である、地元素である。
第二の元は、液体の要素である、水元素である。
第三の元は、温度の要素である、火元素である。
第四の元は、気体の要素である、風元素である。」

「遍歴行者よ、この心を、為しているもの。
無常であり、苦しみである、三つの受がある。
それでは、この三つの受とは、如何なるものか。

第一の受は、楽しみを受けること、楽受である。
第二の受は、苦しみを受けること、苦受である。
第三の受は、苦も楽もない、非楽非苦受である。」

「物質の要素である、四つの元についても、
精神の要素である、三つの受け方についても、
ディーガナカよ、無常と知って、執着を離れよ。」

ディーガナカの甥である、サーリプッタは、
この話を傍らで聞きながら、完全に理解した。
そして、煩悩の漏れを尽くし、心解脱を果した。

法悦が湧き上がった、ディーガナカは、言った。

「ああ、これは、とても、妙なる教えです。
さながら、暗闇の中で、灯火を掲げるように、
仏陀は、私の見えない目に、見せてくれました。」

「仏陀よ、これより、この命が尽きるまで、
私は、心から、仏と法と僧に帰依し奉ります。
三宝の帰依者として、どうか受け容れて下さい。」


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