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梵志陀経(ダーナンジャーニ・スッタ)

仏教

その場に応じた教え



目次

第一章 |  第二章 |  第三章 |  第四章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ラージャグリハの、
カランダカニヴァーパに、止まっておられた。
その地には、ダーナンジャーニが暮らしていた。

サーリプッタは、ダーナンジャーニを訪れ、
親しく挨拶すると、友として会話を交わした。
彼ら二人は、以前から、仲の良い友人であった。

「友よ、怠惰にならず、修行をしているか。」
「尊者よ、私は、妻や子を養わねばならない。
何故に、君と同じように、励む事ができようか。」

「尊者よ、家を出るなら、免れ得るものも、
家に在って、免れ切れない、七つの義がある。
それでは、この七つの義務は、如何なるものか。

第一の義は、妻子に対する、義務のことである。
第二の義は、友人に対する、義務のことである。
第三の義は、親族に対する、義務のことである。
第四の義は、客人に対する、義務のことである。
第五の義は、先祖に対する、義務のことである。
第六の義は、神々に対する、義務のことである。
第七の義は、王族に対する、義務のことである。」

 

第二章

「友よ、妻子のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、友人のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、親族のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、客人のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、先祖のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、神々のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

「友よ、王族のために、悪を為した者は、
仮に、他のためでも、地獄に落ちてしまう。
我が為に苦しまないが、他の為に悩まされる。」

 

第三章

「友よ、妻子のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、妻子のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
妻子のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、妻子のためにもなる筈です。」

「友よ、友人のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、友人のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
友人のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、友人のためにもなる筈です。」

「友よ、親族のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、親族のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
親族のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、親族のためにもなる筈です。」

「友よ、客人のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、客人のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
客人のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、客人のためにもなる筈です。」

「友よ、先祖のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、先祖のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
先祖のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、先祖のためにもなる筈です。」

「友よ、神々のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、神々のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
神々のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、神々のためにもなる筈です。」

「友よ、王族のために、悪を行なう者と、
悪を断じ、王族のために、善を行なう者と、
どちらが優れていると、汝は考えるだろうか。」

「尊者よ、たとえ、苦しむ事になろうと、
王族のために、悪を断じて、善を行なう者、
彼の方が、結局、王族のためにもなる筈です。」

 

第四章

後日、ダーナンジャーニは、病気を患い、
苦しみ続けるほど、重病になってしまった。
サーリプッタは、彼を見舞って、こう言った。

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
地獄界と畜生界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、畜生界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
畜生界と餓鬼界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、餓鬼界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
餓鬼界と人間界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、人間界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
人間界と修羅界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、修羅界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
修羅界と天人界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、天人界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
天人界と梵天界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、梵天界です。」

「友よ、あなたは、どのように考えるか。
梵天界と無色界、どちらに汝は行きたいか。」
「尊者よ、どちらか選ぶならば、梵天界です。」

バラモンが、梵天を信仰していることを、
サーリプッタは、知っていて、認めていた。
そこで、サーリプッタは、このように説いた。

「友よ、梵天の世界に、生まれ変るには、
慈悲喜捨、四つの無量心を培うことである。
四つの心を、四方に向けて遍く満たしなさい。」

ダーナンジャーニは、梵天界に生まれ変った。


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