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馬邑小経(チューラアッサプラ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章 |  第三章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、アンガの国にある、
アッサプラという地方に、止まっておられた。
そこに、比丘衆が集まると、このように説いた。

「比丘達よ、比丘たる者、布施に相応せよ。
優れた者に与えれば、勝れた徳となるだろう。
勝れない者に与えれば、優れた徳にはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、貪欲を浄化せよ。
自らの貪りの心を静め、周りの貪りを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、瞋恚を浄化せよ。
自らの怒りの心を静め、周りの怒りを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、愚痴を浄化せよ。
自らの迷いの心を静め、周りの迷いを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、嫉妬を浄化せよ。
自らの嫉みの心を静め、周りの妬みを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、怨恨を浄化せよ。
自らの怨みの心を静め、周りの恨みを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、欺瞞を浄化せよ。
自らの欺きの心を静め、周りの欺きを鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、慳貪を浄化せよ。
自らの吝嗇の心を静め、周りの吝嗇を鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

「比丘達よ、比丘たる者、狡猾を浄化せよ。
自らの狡猾の心を静め、周りの狡猾を鎮めよ。
他より浄いと言って、慢心を抱いてはならない。」

 

第二章

「例えば、いつも服を着ない、行者が居る。
しかし、服を着ないだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも糞に塗れる、行者が居る。
しかし、糞に塗れるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも河に浴する、行者が居る。
しかし、河に浴するだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも立ち続ける、行者が居る。
しかし、立ち続けるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも座り続ける、行者が居る。
しかし、座り続けるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも唱え続ける、行者が居る。
しかし、唱え続けるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも食べ続ける、行者が居る。
しかし、食べ続けるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも体を痛める、行者が居る。
しかし、体を痛めるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

「例えば、いつも髪を結える、行者が居る。
しかし、髪を結えるだけで、供養に値しない。
比丘達よ、煩悩を越えてこそ、布施に相応する。」

 

第三章

「比丘達よ、布施に相応する、条件は何か。
煩悩を越えた、羅漢が培う、四つの心がある。
それでは、この四つの心とは、如何なるものか。」

「第一の心は、瞋恚を滅する、慈愛である。
彼らは、己を慈しむように、他を愛するため、
色界の初禅天である、梵天界に至れるのである。」

「第二の心は、愚痴を滅する、悲哀である。
彼らは、己を悲しむように、他を哀するため、
色界の二禅天である、光天界に至れるのである。」

「第三の心は、憂苦を滅する、歓喜である。
彼らは、自らを歓ぶように、周りを喜ぶため、
色界の三禅天である、浄天界に至れるのである。」

「第四の心は、貪欲を滅する、超越である。
彼らは、己を超えるように、他を越えるため、
色界の有頂天である、色究竟天に至るのである。」

「例えば、砂漠の中に、水が湧き出すよう、
利己の中に、利他が現れたら、どうなるのか。
比丘達よ、渇きを癒すため、多くの人が集まる。」

「比丘達よ、阿羅漢は、衆生の湧水である。
渇きの中にあっても、決しぢ乾わくことなく、
水を求めに集まる者に、法という水を振りまく。」

「例えば、泥沼の中に、蓮が咲き誇るよう、
煩悩の中に、菩提が現れたら、どうなるのか。
比丘達よ、穢れを落すため、多くの人が集まる。」

「比丘達よ、阿羅漢は、衆生の蓮池である。
汚れの中にあっても、決して穢れることなく、
卑しい生まれの者にも、法という華を咲かせる。」

「比丘達よ、比丘たる者、羅漢を成就せよ。
あらゆる、煩悩を滅尽して、聖者を体現せよ。
苦の中にあり、苦に塗れない、蓮華の花であれ。」

これを聞いた、諸々の比丘は、歓喜し実践した。


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