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舎利弗摩訶目連遊四衢経(チャートゥマ・スッタ)

仏教

新入の比丘への教説



目次

第一章 |  第二章 |  第三章 |  第四章 |  第五章 |  第六章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

長老サーリプッタと、長老モッガラーナは、
五百人の比丘を率いて、チャートゥマにある、
アンマロクの林に止まっている、仏陀を訪ねた。

到着すると、比丘衆は、雑談を交し始めた。
その声が、仏陀の所まで、響いて来たために、
仏陀は、彼らを呼び付けて、こう、叱り付けた。

「猟師が狩をする時のように、騒ぐのは誰だ。
おまえ達は、ここに居てはならない、立ち去れ。」

彼らは、仏陀を礼拝し、立ち去ろうとした。
そのとき、釈迦族が、その様子を眺めていた。
彼らは、比丘達に対し、このように語り掛けた。

「尊者達よ、何処まで、行かれるのですか。
少しだけ、ここで、待っていて貰えませんか。
我々は、仏陀を、喜ばせる事が出来るでしょう。」

比丘達が了解すると、釈迦族は仏陀を訪ねた。
訪れると、恭しく挨拶して、このように言った。

「尊師よ、どうか、彼らを受け容れて下さい。
彼らは、出家して日も浅く、戒律が有りません。」

「喩えるならば、種子に水が与えられない、
或いは、幼子が母に会えないようなものです。
このままでは、彼らに、異変が生じるでしょう。」

この様子を見ていた、梵天サハンパティは、
他心通により、仏陀の心を了知したのである。
彼は、仏陀の前に現われて、このように言った。

「尊師よ、どうか、彼らを受け容れて下さい。
彼らは、出家して日も浅く、戒律が有りません。」

「喩えるならば、種子に水が与えられない、
或いは、幼子が母に会えないようなものです。
このままでは、彼らに、異変が生じるでしょう。」

こうして、種子の喩えと、幼子の喩えにより、
釈迦族と梵天は、仏陀の心を喜ばせたのである。

 

第二章

その様子を見ていた、長老モッガラーナは、
再び、比丘達を率いて、アンマロクを訪れた。
彼が帰って来ると、仏陀は、このように言った。

「サーリプッタよ、彼方は、どう思ったのか。
私が去れと言った時、どんな思いが生じたのか。」

「尊師よ、仏陀は、静かに瞑想をされている。
いまは、我々も、静かに瞑想するべきであると。」

「待て、サーリプッタ、待て、サーリプッタ。
そのような思いを、二度と、抱いてはならない。」

「モッガラーナよ、彼方は、どう思ったのか。
私が去れと言った時、どんな思いが生じたのか。」

「尊師よ、仏陀は、静かに瞑想をされている。
いまは、我々が、比丘を保護するべきであると。」

「実に、素晴らしい事だ、モッガラーナよ。
わたしか、サーリプッタか、モッガラーナか。
この三人の誰かが、比丘達を、守るべきである。」

 

第三章

「比丘達よ、水に入ると、四つの恐怖がある。
それでは、この四つの恐怖は、如何なるものか。」

「第一の恐怖とは、波に溺れる恐怖である。
これと、同じように、在家から出家に入ると、
彼らには、波に溺れる恐怖が、生じるのである。」

「在家の時には、他人を訓戒していたのに、
出家を為すと、他人に訓戒されるようになる。
彼らは、一から遣り直すことに、抵抗を覚える。」

「比丘達よ、これが、波に溺れる恐怖である。
すなわち、これを、言い換えると、憤激である。」

 

第四章

「比丘達よ、水に入ると、四つの恐怖がある。
それでは、この四つの恐怖は、如何なるものか。」

「第二の恐怖とは、大鰐が喰う恐怖である。
これと、同じように、在家から出家に入ると、
彼らには、大鰐が喰う恐怖が、生じるのである。」

「在家の時には、好きな物を食べていたが、
出家を為すと、好きな物を食べられなくなる。
彼らは、好物を諦らめることに、抵抗を覚える。」

「比丘達よ、これが、大鰐が喰う恐怖である。
すなわち、これを、言い換えると、食欲である。」

 

第五章

「比丘達よ、水に入ると、四つの恐怖がある。
それでは、この四つの恐怖は、如何なるものか。」

「第三の恐怖とは、渦に溺れる恐怖である。
これと、同じように、在家から出家に入ると、
彼らには、渦に溺れる恐怖が、生じるのである。」

「在家の時には、五妙欲を楽しんでいたが、
出家を為すと、五妙欲を楽しめなくなるのだ。
彼らは、五妙欲を諦めることに、抵抗を覚える。」

「比丘達よ、これが、渦に溺れる恐怖である。
すなわち、これを、言い換えると、五感である。」

 

第六章

「比丘達よ、水に入ると、四つの恐怖がある。
それでは、この四つの恐怖は、如何なるものか。」

「第四の恐怖とは、小鰐が喰う恐怖である。
これと、同じように、在家から出家に入ると、
彼らには、小鰐が喰う恐怖が、生じるのである。」

「在家の時には、好きな者を食べていたが、
出家を為すと、好きな者を食べられなくなる。
彼らは、性愛を諦らめることに、抵抗を覚える。」

「比丘達よ、これが、小鰐が喰う恐怖である。
すなわち、これを、言い換えると、性欲である。」


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