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梵天招待経(ブラフマニマンタニカ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章 |  第三章 |  第四章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ウッカッタの町の、
スバガ林にある、サーラ樹に止まられていた。
そのとき、梵天のバカに、邪なる見解が生じた。

“この世界は、常住であり、無常ではない。
生じず、老いず、死なず、滅せず、変らない。
不壊にして不滅であり、唯一にして絶対である”

この様子を、神通により見とめた、仏陀は、
あたかも、力の強い者が、腕を曲げるように、
梵天界に現れて、大梵天に対して、こう言った。

「この世界は、無常であり、常住ではない。
大梵天よ、邪なる見解を、抱いてはならない。
バカよ、悪しき無明の闇に、陥ってはならない。」

そのとき、第六天である、悪魔パーピマンは、
独りの梵衆天に取り付いて、このように言った。

「比丘よ、大梵天に、逆らってはならない。
大梵天に従うなら、善趣に生まれ変るだろう。
創造主に逆らうなら、悪趣に生まれ変るだろう。」

すると、仏陀は、パーピマンに向かって言った。

「私が見抜けないとでも、思っているのか。
悪魔よ、私は、汝のことを、良く知っている。
第六天よ、汝は、私のことを、何も見とめない。」

 

第二章

大梵天は、仏陀に向かって、このように言った。

「この世界は、常住であり、無常ではない。
生じず、老いず、死なず、滅せず、変らない。
不壊にして不滅であり、唯一にして絶対である。」

「比丘よ、汝より前に、多くの比丘が居た。
彼らは、解脱を求め、苦行を修めたものだが、
欲に囚われる限り、我が地に縛られてしまった。」

「比丘よ、汝もまた、同じ道を辿るだろう。
この私こそが、創造主であり、唯一神である。
いかに足掻いても、想像は創造を越えられない。」

仏陀は、大梵天に向かって、このように応えた。

「梵天よ、それは、わたしも、知っている。
汝は、欲界を越えていて、欲界を治めている。
しかし、梵天を越える者を、私は見とめている。」

「梵天よ、光音天という、神々が存在する。
汝は、そこから落ちて、ここに生まれてきた。
この事を、汝は忘れているが、私は覚えている。」

「梵天よ、遍浄天という、神々が存在する。
汝は、そこから落ちて、ここに生まれてきた。
この事を、汝は忘れているが、私は覚えている。」

「梵天よ、広果天という、神々が存在する。
汝は、そこから落ちて、ここに生まれてきた。
この事を、汝は忘れているが、私は覚えている。」

「汝が見とめるよりも、私は見とめている。
私の智は優れていて、梵天の地を越えており、
私は、汝に治められて、汝に劣るものではない。」

 

第三章

「私は、地元素を、地元素として見とめて、
地元素に捕らわれず、地元素を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、水元素を、水元素として見とめて、
水元素に捕らわれず、水元素を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、火元素を、火元素として見とめて、
火元素に捕らわれず、火元素を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、風元素を、風元素として見とめて、
風元素に捕らわれず、風元素を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、欲六界を、欲六界として見とめて、
欲六界に捕らわれず、欲六界を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、創造主を、創造主として見とめて、
創造主に捕らわれず、創造主を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、光音天を、光音天として見とめて、
光音天に捕らわれず、光音天を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、遍浄天を、遍浄天として見とめて、
遍浄天に捕らわれず、遍浄天を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、広果天を、広果天として見とめて、
広果天に捕らわれず、広果天を治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

「私は、すべてを、すべてとして見とめて、
すべてに捕らわれず、すべてを治めていない。
梵天よ、収めない故に、私は、汝を越えている。」

 

第四章

すると、梵天は、仏陀に向かって、こう言った。

「それでは、汝が、見とめられないように、
いまから、汝の目の前から、消えてみせよう。
もし、見とめられるなら、見とめてみるがいい。」

そう言って、梵天は、姿を消そうとしたが、
仏陀に対して、消して見せようとしたために、
幾ら足掻いても、姿を消すことが出来なかった。

すると、仏陀は、梵天に向かって、こう言った。

「見せまいとして、見せているではないか。
こうして、欲に縛られると、欲に治められる。
いまや、完全に、私は、汝を越えた境地に居る。」

そのとき、仏陀は、梵天の目の前から消え、
梵天は、仏陀を見とめることが出来なかった。
これを見て、梵天は、歓喜の声を上げて叫んだ。

「実に、妙なることです、稀なることです。
このような比丘は、今までに居ませんでした。
見とめられない、無明の闇を見せてくれました。」

そのとき、第六天である、悪魔パーピマンは、
独りの梵衆天に取り付いて、このように言った。

「比丘よ、大梵天を、従がえてはならない。
彼を従えようとすれば、欲界に落ちるだろう。
彼を捨てようとするなら、欲界を離れるだろう。」

すると、仏陀は、パーピマンに向かって言った。

「私が見抜けないとでも、思っているのか。
人を導こうとする欲は、欲を越える欲となり、
人を捨てようとする欲は、欲を捨てる欲となる。」

「パーピマンよ、わたしは、正覚者である。
正しく見る者であり、正しく認める者である。
汝を、見とめない訳ではない、良く認めている。」


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