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思量経(アヌマーナ・スッタ)

仏教



目次

第一章 |  第二章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、モッガラーナは、バッガの、
べーサカラー林の、鹿の庭園に止まっていた。
そして、比丘衆に向かって、このように説いた。

「比丘達よ、法を修めて、心を治めない者、
法を説いても、業を解かぬ、十六の者が居る。
それでは、この十六の者とは、如何なるものか。

第一に、理を捉えないで、利を捕えているもの。
第二に、法を捉えないで、業を捕えているもの。
第三に、苦を捉えないで、楽を捕えているもの。
第四に、空を捉えないで、苦を捕えているもの。
第五に、徳を捉えないで、欲を捕えているもの。
第六に、智を捉えないで、痴を捕えているもの。
第七に、愛を捉えないで、瞋を捕えているもの。
第八に、己を捉えないで、他を捕えているもの。
第九に、法を捉えないで、我を捕えているもの。
第十に、道に徹しないで、道を撤しているもの。
十一に、自ら進まないで、他に勧めているもの。
十二に、己を省みないで、他を顧みているもの。
十三に、己を責めないで、他を攻めているもの。
十四に、他を下げながら、己を上げているもの。
十五に、他を憎んでいる、己を憎んでいるもの。
十六に、他を律しながら、己を利しているもの。」

「比丘達よ、法を認めて、心を見とめる者、
法を以っても、業を持たぬ、十六の者が居る。
それでは、この十六の者とは、如何なるものか。

第一に、利を捕えないで、理を捉えているもの。
第二に、業を捕えないで、法を捉えているもの。
第三に、楽を捕えないで、苦を捉えているもの。
第四に、苦を捕えないで、空を捉えているもの。
第五に、欲を捕えないで、徳を捉えているもの。
第六に、痴を捕えないで、智を捉えているもの。
第七に、瞋を捕えないで、愛を捉えているもの。
第八に、他を捕えないで、己を捉えているもの。
第九に、我を捕えないで、法を捉えているもの。
第十に、道を撤しないで、道に徹しているもの。
十一に、自ら進んでいて、他に勧めているもの。
十二に、己を省みながら、他を顧みているもの。
十三に、他を攻めないで、己を責めているもの。
十四に、他を上げながら、己を上げているもの。
十五に、他を愛しながら、己を愛しているもの。
十六に、己を律しながら、他を利しているもの。」

 

第二章

「私は、理を捉えるのか、利を捕えるのか。
私が囚われているのは、理なのか、利なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、法を捉えるのか、業を捕えるのか。
私が囚われているのは、法なのか、業なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、苦を捉えるのか、楽を捕えるのか。
私が囚われているのは、苦なのか、楽なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、空を捉えるのか、苦を捕えるのか。
私が囚われているのは、空なのか、苦なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、徳を捉えるのか、欲を捕えるのか。
私が囚われているのは、徳なのか、欲なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、智を捉えるのか、痴を捕えるのか。
私が囚われているのは、智なのか、痴なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、愛を捉えるのか、瞋を捕えるのか。
私が囚われているのは、愛なのか、瞋なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を捉えるのか、他を捕えるのか。
私が囚われているのは、己なのか、他なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、法を捉えるのか、我を捕えるのか。
私が囚われているのは、法なのか、我なのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、道に徹するのか、道を撤するのか。
私は、道を究めるのか、道を窮めているのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、自ら進めるのか、他に勧めるのか。
私は、他に負わせるか、自らに負わせるのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を省みるのか、他を顧みるのか。
私は、自らに依るのか、他に拠っているのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を責めるのか、他を攻めるのか。
私は、己に帰するのか、他に着せているのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を上げるのか、他を下げるのか。
私は、他を下げないと、己が上がらないのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を愛するのか、他を愛するのか。
私は、他を愛するとき、己を愛しているのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「私は、己を利するのか、他を利するのか。
私は、他を利するとき、己を利しているのか。
比丘達よ、いつでも、このように思量しなさい。」

「鏡に映し、悪が映れば、善に移しなさい。
自らを映して、善が移れば、徳に遷しなさい。
日夜、自らを鏡に映して、空の器に還しなさい。」

これを聞いた、諸々の比丘は、歓喜し実践した。


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