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無畏王子経(アバヤ・スッタ)

仏教

アバヤ王子への教説



目次

第一章 |  第二章

 

第一章

あるとき、わたしは、このように聞いた。

ある日のこと、仏陀は、ラージャグリハの、
カランダカニヴァーパに、止まっておられた。
その時、アバヤ王子は、ナータプッタを訪れた。

「王子よ、汝は、ゴータマを論破しなさい。
ゴータマの処に赴き、このように言いなさい。
あなたは、人を害したことがあるか、どうかと。」

「そして、ゴータマが、有ると答えたなら、
ゴータマに向かって、このように言いなさい。
それならば、凡夫と変わらない、ではないかと。」

「または、ゴータマが、無いと答えたなら、
ゴータマに向かって、このように言いなさい。
それならば、デーヴァダッタは、どうしたかと。」

アバヤ王子は、そうしましょうと、答えた。
そして、王子は、仏陀が止まる精舎に赴いた。
訪れると、恭しく挨拶して、このように言った。

「世尊よ、是非、伺いたいことが有ります。
仏陀は、世の人を、害したことが有りますか。
言葉で害したことが、有りますか、無いですか。」

それは、一概に言えないと、仏陀は応えた。
それを聞いて、アバヤ王子は、歓声を上げた。
ナータプッタを、仏陀が打ち砕いたと歓喜した。

 

第二章

「王子よ、如来は、その言葉が事実でなく、
相手に利益を与えず、相手が嫌がるものなら、
その相手に対して、その言葉を語ることがない。」

「王子よ、如来は、その言葉が事実であり、
相手に利益を与えず、相手が嫌がるものなら、
その相手に対して、その言葉を語ることがない。」

「王子よ、如来は、その言葉が事実であり、
相手に利益を与えて、相手が嫌がるものなら、
その相手に対して、その言葉を語ることがある。」

「王子よ、如来は、その言葉が事実でなく、
相手に利益を与えず、相手が喜ぶものならば、
その相手に対して、その言葉を語ることがない。」

「王子よ、如来は、その言葉が事実であり、
相手に利益を与えず、相手が喜ぶものならば、
その相手に対して、その言葉を語ることがない。」

「王子よ、如来は、その言葉が事実であり、
相手に利益を与えて、相手が喜ぶものならば、
その相手に対して、その言葉を語ることがある。」

「世尊よ、寸分違わない、鋭い答えでした。
このような答えは、前から用意するのですか。
どこまで用意すれば、こんな答えを出せるのか。」

「王子よ、本質を悟る者は、細部が分かる。
すべてを用意しなくとも、真実を悟れば良い。
真実から辿れない、現実など無いと知りなさい。」

法悦が湧き上がった、彼は、このように言った。

「ああ、これは、とても、妙なる教えです。
さながら、暗闇の中で、灯火を掲げるように、
仏陀は、私の見えない目に、見せてくれました。」

「仏陀よ、これより、この命が尽きるまで、
私は、心から、仏と法と僧に帰依し奉ります。
三宝の帰依者として、どうか受け容れて下さい。」


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