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たった一人で家を建て、俺を育て上げてくれた母

2ch



オヤジが病死したのは俺が1歳に満たない時だった。
ガンだったそうだ。
それから約20年間、再婚もせずたった一人で家を建て、俺を育て上げてくれた母。

胆石で入院し、後2、3日で退院という深夜1時過ぎ、家の電話が鳴った。
病院からだった。
「すぐに来て下さい」
俺は訳解らず車で3分ほどの病院へ駆け込んだ。

母はいつものベッドで寝ていた。
いつもと違うのは二人の大人が馬乗りになり、汗だくで心臓マッサージをしていた事だ。
「何が起ってるんだ?」
理解するまで何分かかったのだろう。
しかし理解したと同時に自分の口から出てきた言葉は
「もう結構です。ヤメテクダサイ。」
あまりに可愛想で見るに耐えなかった。自分から止めてもらった。

訳解らずそのまま病院を追い出されるような感じで母を連れて家に戻ってきた。
家にはいつものように母と俺の2人だけ。
20数年間続いてきた光景だ。しかし母は深い眠りについたまま。

そのまま朝を迎えた時、母が使っていた目覚し時計が不意に鳴り出した。
昔ながらの手巻きの目覚し時計。
小さい頃いつも一緒に寝ていたので、頭の中にこびりついてる音。
その時計の最後の巻が切れ、ポロンと音が止まった瞬間、涙が止まらなくなった。

あれから早8年、俺は人並みに結婚をし1児の父親になった。
もし出来るのなら1回でいいから母に俺の子供を抱いてほしい。
それが俺に出来る一つの恩返しだと思うから・・・


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