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U2の「Pride」という曲

2ch



104 :癒されたい名無しさん:2010/10/15(金) 22:56:59 ID:9LpIOoZ9
U2というバンドがある。
ボーカルのボノ、ギターのジ・エッジ、ベースのアダム、ドラムのラリー。
1980年にアイルランドから登場したこの4人組は、卓越した演奏力はさることながら、
ボノの書く、貧困、宗教、国家といった社会問題に切り込む歌詞が反響を呼び、
瞬く間に世界的バンドとなった。
そんな中、1984年に「Pride (In the Name of Love)」という曲が発表される。
この曲はマーティン・ルーサー・キング牧師に捧げられた曲であり、彼の功績を讃えた曲だった。
それまでも様々な団体から圧力や脅迫を受けていたU2だったが、
特に全米ツアーが決まった後は、KKKを始めとする人種差別主義団体から、
大量の脅迫状が届いた。
その内容は、アメリカに入国したら射殺する、Prideを演奏した場合ボノを射殺する、
といったものばかりだった。
ツアーの中止も検討されたが、メンバーたちは
「路地裏の倉庫で練習してたときから、俺たちには失うものなんてなかった」
そう言ってツアー実施を決めた。

アメリカに入ると、空港で待っていた地元の警察から、銃撃されるならL.A.だ、との警告を受ける。
「ご丁寧に死の宣告をどうも」ボノは返した。体制の象徴である警官に
大勢で警護してもらうという皮肉も少し可笑しかった。
ツアーが始まり、U2は大小様々な嫌がらせを受けながらも、全米を回り続けた。
そしてついにくだんのL.A.。警備のチーフが駆けつけ、タレ込みによれば明日のライブがヤマだ、
と告げた。

105 :癒されたい名無しさん:2010/10/15(金) 22:58:08 ID:9LpIOoZ9
ライブ当日、出番を待つメンバーの元に、スタジアムの警備から不審者を確保したとの連絡が入る。
銃を持ち込もうとした人間が複数、取り押さえられたとのこと。
スタジアム内にライフルが持ち込まれる可能性も指摘された。
これにはメンバー、スタッフとも青ざめ、ライブ中止、せめてPrideをセットリストから
外すことが提案された。
しかし、ボノはなんとしてもPrideを歌うと決めていた。

いよいよステージに上がり、熱狂的なパフォーマンスを繰り広げたU2。
問題のPrideを演奏し始める。メンバー4人にかつてない緊張が走る。
ボノは力の限り歌った。

 一人の男が現れた、愛の名の元に
 一人の男が現れ、そして去った
 一人の男が現れた、正すため
 一人の男が現れた、覆すため
 愛の名の元に

106 :癒されたい名無しさん:2010/10/15(金) 22:59:28 ID:9LpIOoZ9
スタジアムには数万人の観客。見晴らしは良く、自分はステージの中央に立っている。
撃つならこの曲の間だろう。殺そうと思えば簡単だ。
ボノは迫る死を意識し、今までにない恐怖を感じた。
その時、客の中で何人かの男が不審な動きをしたように見え、ボノは思わずしゃがみ込んだ。
いよいよ殺される、ボノは目をつぶったが、歌声だけは精一杯張り上げた。
そして曲も後半に差しかかり、ボノが恐る恐る顔を上げると、目の前に1人の男が背を向けて
立っていた。
アダムだった。
彼はベースを弾きながらボノの盾となって仁王立ちしていたのだ。

「あの夜、あそこで見たヤツの背中を、俺は一生忘れない」
2006年、3度目のノーベル平和賞候補に選ばれたボノは、そう語った。


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