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ひとりぼっちの家

2ch



58 :ほんわか名無しさん :2007/03/07(水) 13:50:43 O
私の父と母は、昔から仲が悪かった。

喧嘩する仲というよりも、冷え切っていた。それは、小学生だった頃の私にもわかる程だった

気付いたら父が別居していたりと、どちらかというと母と一緒にいた記憶のほうが多い。

強くて美しい母は、私には冷たかった。理由は未だにわからない。

母が夜に遊びに出掛けるのを、私が泣いて嫌がると、重いソファーに潰して出掛けたり

学校帰りが少しでも遅くなると、遠くから走って家に入ろうとする私を、母は玄関から冷たい目で睨み、玄関の鍵を締めたり

とにかく、嫌われていた

そして私は、どんどん壁を作った

傷つかないように

大好きなママに、これ以上嫌われないように




59 :ほんわか名無しさん :2007/03/07(水) 14:00:52 O
私が中学生になった時には、既に完全に別居となっていて、父と会う事はほぼなくなっていた。

兄はグレてしまい、高校を中退し家を出ていってしまった

冷え切った関係のまま、母と私の二人暮しで数年過ごした

中学三年の半ばのある日

ママは、夜遊びをせず家にいた

嫌な予感がした

ご飯を食べ終わった後、ママは言った

『ママ、離婚して東京に行くから』

美人で、気丈なママが、私の膝の上で泣いた

初めて泣いた

壁が出来上がっていた私には

無表情で『そう』『うん』としか言えなかった

でも、そんなママの姿を見て私の涙は止まらなかった。ママは私を嫌っているのに

なぜ泣く?




60 :ほんわか名無しさん :2007/03/07(水) 14:13:02 O
私が高校に上がったら出ていく、とママは宣言した。

ママとの二人暮しも、高校に上がったら終わり。それからのママは、壁はあるものの優しかった。

高校の入学式の朝

ママは数年ぶりに『おはよう』と言ってくれた。気恥ずかしいせいか、笑顔ではなかった。でもママなりに頑張ったんだと思う

部屋の中の片隅には、ママの荷物がまとまっていた。洗濯や掃除も、すべて片付いていた。

『○○が家に帰ってきたら、ママいないからね』と念を押した

泣かない。絶対に泣かない

そして、私は玄関を出た。薄いカーテン越しに、私を見ているのがわかった。どんな気持ちで見ているのかはわからなかった。


入学式が終わると、走って家に帰った

もちろんママは、いなかった

大好きなママ、ひとりぼっちの家、ひとりぼっちの高校生活

手料理の味

涙が、止まらなかった


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