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母の作ったおはぎ

2ch



148 名前: おさかなくわえた名無しさん 投稿日: 2011/05/31(火) 20:54:24.80 ID:9aQliOIb
小学生だった私は、弟と母親の3人暮らし。 
父親は腕のいい職人だったけど女作って家族を置いたままどこかへ行った。 
残された母親は、女手一つで頑張ってくれた。 
私達は貧乏で身なりが汚かったのでよく苛められた。 
そんな、ある時家庭訪問をやる事で先生がうちにも来ることになった。 
私は母親に 
「恥ずかしいから先生に来てもらうの嫌だ」 
って言っら、酷く叱られた。 
「貧乏なんてちっともはずかしくないんだよ。そんな事を言うなんて、もううちの子じゃない」 
って 
「だってお母さん、うちは先生に出すお菓子も買えないよ」 
「大丈夫よ、そんな事子供が気にしなくても。お母さんは、こう見えてもおはぎ作らせるとうまいんだ。おばあちゃんから習ったんだから」 
「ほんと?」 
「本当さ。先生には美味しい手作りのおはぎを出すから安心しな」 
家庭訪問の前夜から母親は小豆を水に浸し、次の日は朝早くから煮込んでいた。 
私と弟はわくわくしながら、見ていた。 
出来上がったおはぎをみんなで味見したら、それはもうとてもおいしかった。あの時の味は今でも忘れない。 
先生も喜んでくれる。そう信じていた。 
ところが、先生は出されたおはぎに手をつけなかった。母親が言った 
「先生手作りですけどどうぞお召し上がりになって下さい」 
「いえ、せっかくですが今、お腹がいっぱいなので貰って帰ります」 
先生はそう言って紙に包んでカバンの中にしまった。 
それから1時間後、私は土手下の草村で遊んでいて、投げ捨てられているおはぎを発見した。 
紙包みからはみだしたおはぎが、無残に散らばっていた。 
それが私の母の作ったおはぎだという事は、包んである紙を見てわかった。どうして先生が捨てたのか、いろいろ考えた。 
考えながら涙が流れてとまらなかった。 
母が作ったおはぎが悪いんじゃない。 
貧乏が悪いんだ。 


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