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空手をやれば強くなれるから、イジメられないぞ

2ch



小学生の中学年の頃、俺はクラスでいじめられていた。
理由は、多分、おとなしいから。無口だから。弱いから。だったと思う。
学校には友達がいない。毎日、イジメられて泣きながら家に帰る。
怖かったのは、学校にいる時間よりも下校の時。
朝は高学年と列を作って登校したから、ナニもされない。
学校でも、先生がいたので泣けば先生が助けてくれた。
でも、帰りはダレも助けてくれる人はいない。
ジャマものがいないから、イジメっこ達は、執拗に俺をいじめた。
家まで帰る時は、危険をさけるために、知らない人の家の庭を
横断して帰ったり、田んぼを渡ったりいろんなことをした。
それでも、見つかってイジメられる。足蹴にされて、罵倒されて
結局、ボロボロになって、泣いて帰るのが、日課だった。

母親は、パートにでていて5時まで帰ってこない。
大きな声を出して泣くと、同じ団地にすんでいる同級生にばれて、
翌日バカにされる。だから、俺は、いつも年中置きっぱなしのコタツに
頭だけを突っ込んで泣いていた。
でも、涙が止まった頃に、かーちゃんは帰ってきてしまう。
それで、優しくするもんだから、また泣いてしまう。
母は、俺がどんな目に合っても、学校やイジメッ子の家には
行かなかった。というより、いけなかった。
オヤジが厳しいからだ。オヤジは、大正生まれで戦争を経験していて
侍みたいな人で、柔道の有段者だった。
オヤジはバツイチで、俺が生まれたときには、50を過ぎていた。
世間では、年取ってからの子は可愛いというそうだが、この上なく、
厳しく、俺にとってはイジメっ子よりも怖い存在だった。

オヤジは、子供のケンカには絶対に大人が入らないように母に言っていた。
ある日、いつものようにイジメられて、泣いて帰ってきたら、オヤジがいた。
会社の創立記念日らしく、半日勤務で、午後から帰ってきてたのだ。
オヤジは、泣いていた俺をみたら、何度も殴り、家の外に放り出した。
ドア越しに「泣かした相手を泣かしてこい。さもなくば、帰ってくるな!」
途方に暮れて、外にいると、いじめっ子がまたやってきて、いじめられた。
たまたま、通りかかったかーちゃんが、助けてくれたのだが、
俺は、その日10時まで家に入れなかった。

そんな、あまりにも情けない俺を見かねて、母が空手教室を俺に勧めた。
当時の俺は、空手はコワイという先入観があって、断固として拒否していた。
しばらくして、今度はピアノ教室に行こうと言われた。
面白そうだし、友達もできそうなので、喜んでくっついて行くと、そこは、
集会所の空手教室だった。
母は、そこの先生に何度も頭を下げて、俺のことをよろしくよろしく言っていた。
臆病な俺は、ヒゲをはやした筋肉質の先生が怖くてしょうがなかった。
先生は、母から俺のことを色々ときいていたらしく、「お前イジメられたのか?」
と聞いてきた。・・・うなづくと、「俺もだ!ガッハッハ!」。とか言って笑っていた。
それで、「空手をやれば強くなれるから、イジメられないぞ」と言ったのが
今でも特に印象に残ってる。それから、ソコに強くなるべく通い始めたワケだが、
先生は、とってもやさしかった。怒ったところなんて見たことなかった。
練習も面白くて、予想以上に楽しかった。
その空手教室には、同じくらいの子供が結構いたが、イジメなんてなかった。
当時は、学校に友達がいないが、空手教室には友達がいたので、
結構救われていた。
空手を始めて何ヶ月かたったら、だんだんイジメっこが怖くなくなった。
いじめられても、走って逃げず、無視して歩いて帰れるようになっていた。
(たまには、泣かされたが)
ある日、最近リアクションの少ない俺が面白くないらしく、朝から近所の
同級生10人くらいに囲まれた。最初は、囲んで罵倒されてたが、
なんか、気持ちが少し強くなっているので、そんなに応えなかった。
やがて、イジメてる方が、精神的に厳しくなったらしく、体の大きい奴が
俺の足を思いっきり蹴ってきた。
この瞬間、なぜか恐怖を超えることができて、コイツらを痛めつけてやろうと
決心した。というより、キレた。

俺は、片っ端から、突きと蹴りを入れていった、まだ、子供なので、向かってくる
奴はいなくて、みんな、散り散りに逃げていった。それでも、俺の1年間の思いは
晴れず、逃げる奴を追いかけて捕まえて殴って、足の速い奴には石をぶつけて。
大変な状態になった。団地内の出来事だったので、すぐに、近所の大人がきて
俺を取り押さえた。それでも、泣きながら暴れていたのを覚えている
その日の夜、俺の家には、20人くらいの客が来た。全員、怪我した同級生の
親だった。ヒドイ人は2針縫ったとか、縫わないとか騒いでいた。
ひたすら、母親は謝っていたが、オヤジは、同級生の親の前で俺を誉めた。
どの親も、ヒステリックに騒いでいた。オヤジは、自分の半分くらいの年の
親達を国の恥だとか、過保護なバカ親とか、色々説教していた。
その騒動は階段から団地中に響いていた。
結局、オヤジの変に説得力のある理解不能な説教に同級生の親達も同意し
お互いに悪かった。ということで、落ち着いた。
それから、学校ではイジメはなくなり、少しは友達もできて平和な生活が訪れたが、
あの10人(クラスの半分)とは、立場が逆転していた。気分が良かったので
また殴るぞなどと脅したりもした。軽い冗談でも異常に怖がる奴らを見ると気分爽快だった。
騒動のあと道場に行ったら、先生に「イジメっ子をやっつけたんだな」といわれた。
先生は、「空手でそいつらやっつけて気持ちよかったか?」と聞いた。
俺が、うなづくと先生は、「でもな、もうケンカはするなよ」と言った。
「お前はいじめられて、辛かっただろ?痛かっただろ?」
「でも、ここでは、友達ができて楽しかっただろ?」
「どっちがいい?」
俺は、友達がいて楽しい方と答えた。
「だったら、もうケンカも復讐もするなよ」
「お前なら分かるだろ?イジメられるとどんなに悲しいか、どんなに憎まれるか」
「自分と同じ思いを他人にさせたくないだろ?友達に憎まれたくないだろ?」
なんか、子供心に響くものがあって、素直にうなずいたら。
先生は、笑いながら、硬くてゴツゴツした手で優しく頭をでなでてくれた。

それから、俺はイジメをスグに辞めて、イジメっ子と友達になった。
そのうちの一人とは、今でも良い友達だ。

小学校の記憶なんて、ほとんど残ってないが、小3のこの頃のことは、何故か
よく覚えている。集会所で空手教室を開いていたあの先生も、俺が5年の時に
引っ越して、違う先生になっちゃって、それっきりだけど、あのヒゲ先生が俺に
友達を与えてくれたような気がして、感謝している。

イジメられてた頃の話はカッコわるいので、隠そうと思ったが、このスレを見て
ありのままを書きたくなった。
ちなみに、酔っ払っているので、ワケ分からん文になってたら許して。


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