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今道友信さんの「暖かいスープ」というお話

2ch



330 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:04/12/14(火) 23:08:11 ID:irwybNeq [2/4]
教科書に載っていた話です

フランスに、一人の日本の留学生がいた。
彼が渡仏したのは、第二次世界大戦が終結して間もなく、日本がオリンピックに
参加することもままならなかった頃のこと。

彼が最初に訪れた下宿先では、彼が日本人と分かるや否や断られた。
「夫の弟がベトナムで日本人に虐殺された。あなたには何の恨みもないが
この家に日本人をいれたくないのです」

その後住居は定まったが、貧しい学生生活を送ることになった。
彼は大学から少し離れたレストランで毎週土曜は夕食をとった。
そこは若い娘と母親が営む小さな店で、パリの雰囲気を漂わせていた。
彼は「今日は食欲がないから」などと言いながら、いつも
一番安いオムレツを注文した。

ある夜のこと。通い慣れたそのレストランで、娘さんが黙ってパンを二つ出した。
パンは安いので、会計の時にそのまま支払うことにした。
食事がすみ、レジの前で二つ分のパンの料金を払おうとすると、他の客に
分からないように人差し指を口にあて、目で笑いながら静かに首を振り、
一人分の料金しか受け取らなかった。彼は、かすれた声で「ありがとう」と
言った。それ以降、いつも半額の二人前のパンが出た。

331 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:04/12/14(火) 23:08:41 ID:irwybNeq [3/4]
何ヶ月か経った冬の寒いある晩。彼は無理に明るく笑いながら、オムレツだけ
注文した。店には他に二組客がいたが、どちらも暖かそうな肉料理を食べていた。
その時、店のお母さんの方が湯気の立つスープを持って近寄ってきて、
震える声でそれを差し出し、小声でこう言った。
「お客様の注文を取り間違えて、余ってしまいました。よろしかったら
召し上がってください」
小さい店だから、注文を取り間違えたのではないことくらい、よく分かる。
目の前に置かれたどっしりとしたオニオンスープは、ひもじい彼にとって
どんなにありがたかったことか。涙がスープに落ちるのを気づかれぬよう、
彼は一さじ一さじ噛むようにして味わった。

仏でも辛い目に遭ったことはあるが、この人たちのさりげない親切ゆえに、
私が仏を嫌いになることはないだろう。いや、そればかりではない。
人類に絶望することはないと思う。

今道友信さんの「暖かいスープ」というお話。勝手にまとめさせていただきました。
中学校の教科書のための書き下ろしだそうです。なんて贅沢な!
子供の教科書をぺらぺら読みながら、思わず落涙。

332 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:04/12/14(火) 23:15:46 ID:Aq0IrCme
>>330>>331
イイ話だ!
無知ですみませぬが当時フランスでは日本人が嫌われてたりしたのかな?
だとしたらレストランの人はなかなか勇気のある人だよね。
だとしなくても良い人だけどねw

333 名前:330-331[] 投稿日:04/12/14(火) 23:27:48 ID:irwybNeq [4/4]
>>332

第二次世界大戦が日本の降伏によって終結したのは、一九四五年の夏であった。
その前後の日本は世界の嫌われ者であった。信じがたい話かもしれないが、
世界中の青年の平和なスポーツの祭典であるオリンピック大会にも、戦後しばらくは
日本の参加は認められなかった。そういう国際評価の厳しさを嘆く前に、
そういう酷評を受けなければならなかった。…そのような状況であったから、
世界の経済機構への仲間入りも許されず、日本も日本人もみじめな時代があった。

とあります


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