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天帝の眼

2ch



855 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/01/06(火) 14:05:20 ID:b0dITtGL

まとめサイトでは見かけなかった気がするので、松永久秀の話を

1577年(天正五年)8月、上杉謙信上洛の噂を聞きつけた松永霜台こと久秀は
本願寺包囲網の一角だった自陣を勝手に引き払い居城信貴山城へ退却、叛旗を
翻した。

だが、頼みの綱だった謙信は留守の間隙を突いた北条氏政の上野出兵を聞き撤退してしまう。
自慢の多聞櫓がある多聞山城は前回謀叛で没収されており、久秀の城はこの信貴山城だけ。
同年十月三日、織田信忠の軍が城を取り囲むなか
久秀は顕如に援軍要請を行うが、この使者が夜道で迷い佐久間信盛軍に捕縛される。

これを知った信盛は部下百余兵を率いて信貴山城に接近、『援軍第一陣到着!!』と偽って門を開けさせる。
忽ちのうちに、城の中を席巻し二の丸まで占領してしまい、同時に使者としていた
部下の森某が旧主の筒井順慶と通じて叛乱を起こす。
もはや、一代の梟雄・松永久秀の命運も風前の灯火となってしまった。

天守閣から城の有様を見据える弾正の傍らで、部下の者が葛城山の上空に煌く箒星を指差して言った。
『あの箒星は先月二十九日から光の尾を引いております。京童達はあの星を
 "弾正星"だの"松永星"だのと名づけ、松永弾正殿滅亡の天意だと噂しておりましたが
 残念ながらその凶星の示す通りとなってしまいました。』と呟いた。

それを聞いた久秀は哄笑し、夜空を見上げて嘯いた。
『何を言い出すかと思えば、莫迦者め。
 彗星が現れたのは天文自然の理に従ったからだ。
 俺如きの事など、いちいち天帝(天地創造神)が知っているものか…。
 天帝の眼から見れば、信長も将軍も天皇も塵芥同然さ。
 誰が死のうが誰が滅びようが、彗星の運行は毛筋ほども変わりはせん。』

梟雄・松永久秀が壮絶な爆死を遂げたのは十月十日の事だった。

そんな松永久秀の、(ものわかりが)いい話。


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